共同抵当と建物の再築
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/06 04:35 UTC 版)
かつての判例・通説は共同抵当においても建物の担保価値については敷地利用権を含めた担保価値、土地の担保価値については底地としての価値と個別的に把握されるものと解し(個別価値考慮説)、同一所有者の土地・建物に共同抵当権が設定され、その後に建物が取り壊され新たな建物が再築されて土地抵当権が実行された場合には旧建物を基準とする法定地上権が成立するとみていた。しかし、この解釈は旧建物の取り壊しによって旧建物に設定されていた抵当権が消滅し、新建物の抵当権が取得されないまま土地抵当権が実行された場合、建物と法定地上権の担保価値が失われ土地についても底地の価値しか把握できず抵当権者が不利益を被ることになる。 その後、東京地裁は抵当権者は土地・建物に共同抵当を設定することで全体としての担保価値を把握しているものとみて(全体価値考慮説)、新建物の所有者が土地所有者と同一で、かつ、土地抵当権者が新建物について土地抵当権と同順位の共同抵当権の設定登記を受けたときなど特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないとし(東京地平4・6・8民事第21部執行処分)、最高裁も同様の法解釈をとるに至っている(最判平9・2・14民集51巻2号375頁)。
※この「共同抵当と建物の再築」の解説は、「法定地上権」の解説の一部です。
「共同抵当と建物の再築」を含む「法定地上権」の記事については、「法定地上権」の概要を参照ください。
- 共同抵当と建物の再築のページへのリンク