公転の逆行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/22 06:15 UTC 版)
太陽系ではほとんどの天体が同じ方向で太陽の周囲を公転している。全ての惑星と大部分の小天体は、太陽の北極方向から見て反時計回りの軌道を持っている。逆行公転している天体のほとんどは彗星で、これらは非常に離心率の大きな軌道を持っている。 同様に、惑星の衛星のうち半径が大きく母惑星に近い軌道を持つものはほとんどが母惑星の自転と同じ方向に公転しており、その方向が順行となっている。しかし木星型惑星には軌道傾斜角が大きく離心率の大きな軌道を公転する変わった小衛星が数多く存在する。これらの衛星は小惑星やエッジワース・カイパーベルト天体が惑星に捕らえられたものと考えられ、その多くが逆行軌道を持っている。2006年現在での捕捉天体と考えられる衛星の軌道の向きは、木星では逆行が48個に対し順行が7個、土星では逆行が18個に対して順行が8個、天王星では逆行が8個に対し順行が1個である。この種の衛星で最も大きいものの一つが土星の衛星フェーベである。海王星では状況は少し異なっている。海王星の衛星では、逆行軌道を持つが軌道要素自体は普通のトリトンのみが、エッジワース・カイパーベルトから捕捉されて現在まで残っている唯一の大きな衛星とみられている。トリトンより外側を公転し不規則な軌道を持つ衛星が6個あるが、これらは順行軌道と逆行軌道が半数ずつとなっている。これらの衛星のうちいくつかは捕捉天体ではなく元々海王星の衛星で、トリトンの捕捉によって軌道が乱されたものと考えられている。
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