元号法制化実現国民会議とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 元号法制化実現国民会議の意味・解説 

元号法制化実現国民会議

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/27 02:18 UTC 版)

元号法制化実現国民会議(げんごうほうせいかじつげんこくみんかいぎ)は、日本の政治団体。1978年7月18日結成[1]右翼、新興宗教「生長の家」、生長の家の関連団体「日本青年協議会」、統一教会の関連団体「国際勝共連合」、神道政治連盟神社本庁反憲学連など民族派諸団体や民社党などが結集し、元号に対する世論を盛り上げ、元号法制定を日本政府に求めた[2][3][4][5][6]

沿革

1977年2月に総理大臣福田赳夫の「元号法制化もありうる」という発言がきっかけで、この月から前述の右翼勢力が「大衆的な運動」を開始した[3][7]

同年5月、元号法制化要求中央国民大会(会長は国際勝共連合代表世話人の宇野精一[8][9])を開催し、全国的な結集が展開しだした[3][7]

同年12月に熊本県で「元号法制化要求熊本県民大会」が開催され、法制化要求が決議された[3][7]。この大会の事務局を担当したのは、生長の家政治連合熊本県委員会だった[3][7][6]。加盟団体は国際勝共連合神社本庁の熊本県支部である熊本県神社庁などだった[3][7][6]。大会の司会は神道政治連盟の行藤輝臣と、生長の家青年会の山本次吉だった[6]細川護熙が記念講演を行なった[6]

1978年5月3日開催の元号法制化実現国民大会を経て、同年7月18日、「元号法制化実現国民会議」の結成式が赤坂プリンスホテルで開催された[1][6][10]

同年10月の総決起国民大会に福田赳夫がメッセージを送り、「政府はこのような元号制度を将来も存続させるべきものであると考えております」と述べた[11]

1978年8月に「元号法制化全国縦断キャラバン」を行い、民社党を軸に公明党などの協力を得て県民会議を結成する活動を各地で行った[12]。この運動は右翼系によって組織されたもので、右翼運動において元号の問題が「昭和維新への布石」とされていたと警察庁は述べた[13]朝日新聞によれば、元号法制化実現国民会議結成に至る背景には、生長の家神社本庁など宗教団体の働きかけ、地方議会における決議や請願があった[14]日本協議会の『祖国と青年』はこの朝日新聞記事を紹介し、「かなり正確・公平に報道している」と評価した[15][16]

1981年10月、元号法制化実現国民会議を改組し、「日本を守る国民会議」が設立された[17]

1997年5月30日、「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」は統合し、「日本会議」となった[18][19]

主要人物

呼び掛け人は以下。

発足後、石田が議長[20]、黛が代表委員の一人[25]になった。事務局長は椛島有三[12]

中島三千男によれば、当時の主要人物が英霊にこたえる会日本を守る会と重なっていた一方、より広範な参加もあった[21]

主張

内閣告示による制度化で十分とする種類の元号推進論者とは異なり、法律(元号法)として元号を制定すべきだと論じた[14]。元号は「超国宝級の伝統文化」「独立国家のシンボル」[26]などと主張した。

批判

元号法制化実現国民会議議長の石田和外軍人勅諭を賛美したことについて日本社会党山花貞夫は1979年に国会で批判した[27]

出典

  1. ^ a b 祖国と青年』1978年9月号、日本青年協議会、59-62頁、「元号法制化・各界の同校」。
  2. ^ 昭和55年 警察白書 第8章 公安の維持 6 反体制の姿勢を一段と強めた右翼の活動
  3. ^ a b c d e f 『宮城歴史科学研究 (8/9)』宮城歴史科学研究会、1979年5月。 
  4. ^ 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年1月25日閲覧。
  5. ^ 日本労働年鑑 第50集 1980年版 第二部 労働運動 XIII 政治的大衆行動と平和運動 5 元号法制化、有事立法反対の運動[1]
  6. ^ a b c d e f 『元号問題の本質』白石書店、1979年4月。 
  7. ^ a b c d e 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年1月25日閲覧。
  8. ^ a b 青木慧『パソコン追跡勝共連合』汐文社、1985年10月。 
  9. ^ a b 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年1月25日閲覧。
  10. ^ 『宗務時報』1979年3月、1ページ「宗教界の動き 1.神道系」
  11. ^ 『経済時代』1978年11月、94-101ページ
  12. ^ a b 祖国と青年』1978年9月号、日本青年協議会、68-72頁。
  13. ^ 昭和54年 警察白書 第7章 公安の維持 5 反体制の姿勢を強め、高揚、激化した右翼の活動
  14. ^ a b 朝日新聞1978.6.21夕刊3ページ「にゅーすらうんじ」
  15. ^ 『祖国と青年』1978年7月、p.29
  16. ^ 日本学協会『日本』、1978年9月、14-15ページ、「元号の再法制化への高まり」
  17. ^ 国民運動の歩み”. 日本会議. 2024年1月26日閲覧。
  18. ^ 国際宗教研究所『現代宗教 2017』p.104
  19. ^ 俵義文 (2019年5月30日). “元号は自明か?:元号法制化と戦後日本社会”. Web日本評論. 2024年1月26日閲覧。
  20. ^ a b c d e f g h i 衣笠哲生「国民主権に挑戦する元号法制化」 『社会主義』1979年4月、社会主義協会。
  21. ^ a b c d e f g h i j k 中島三千男「政治反動における宗教教団の役割」 『戦後史と反動イデオロギー』170-171頁。
  22. ^ 『現代の眼 世界平和教授アカデミーの正体』現代評論社、1978年4月号、196-205頁。 
  23. ^ 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年1月22日閲覧。
  24. ^ 朝日新聞(朝刊)1978年(昭和53年)8月19日、5ページ「論壇 元号法制化は必要」
  25. ^ https://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/3236
  26. ^ 『経済時代』1978年11月、103-106ページ、元号法制化実現国民会議「元号法制化の意義と理由」
  27. ^ 衆議院第087回国会 本会議 第20号



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  元号法制化実現国民会議のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「元号法制化実現国民会議」の関連用語

元号法制化実現国民会議のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



元号法制化実現国民会議のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの元号法制化実現国民会議 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS