催告の抗弁権・検索の抗弁権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 21:54 UTC 版)
保証債務には補充性から催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められる(446条)。 催告の抗弁権 保証人は、債権者から履行の請求をされた場合に、まず主たる債務者に催告をするよう請求でき、主たる債務について一時的責任を負わされることを回避することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない(452条)。 検索の抗弁権 保証人は主たる債務者が債務を履行できるだけの資力を有しており、かつ執行が容易であることを証明すれば、債権者からの請求を拒むことができる。この場合、債権者はまず主たる債務者の財産について執行しなければならなくなる(453条)。 検索の抗弁を行使するためには、主たる債務者が容易に執行できる若干の財産を有していることの証明があれば足り、これによって得られる弁済が債権全額に及ぶことを証明する必要はない(大判昭8.6.13)。 債権者が催告や執行を行っても主たる債務者から全額について弁済を受けられなかった場合、再び保証人に債務の残部の履行を請求することになる。しかし、これらの抗弁権が行使された場合、債権者が直ちに催告や執行をしなかったがために弁済額が減少したのであれば、その分までを保証人に負担させることはできない(455条)。例えば、主たる債務が100万円だったとして、検索の抗弁を受けた後すぐに執行をしたなら70万円は回収できたところ、それを怠ったがために50万円しか弁済を受けられなかったとする。通常なら残る50万円は保証人の負担となるが、抗弁の後すぐに執行すれば70万円を回収できたのであるから、債権者は保証人に対して30万円しか請求することはできないのである。 これらの抗弁権は債権者にとって厄介な負担であることから、特約によって排除されることが多い。このように、債権者が、主たる債務者に催告・執行をしなくても、いきなり保証人に債務の履行を請求することができる保証のことを連帯保証という。#連帯保証を参照。
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