位数の小さな群が単純群ではないこと
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 05:55 UTC 版)
「シローの定理」の記事における「位数の小さな群が単純群ではないこと」の解説
もっと複雑な例は巡回群ではない最小の単純群の位数に関係する例である。バーンサイドの定理より、ある群の位数が二つの素数の冪の積であれば、その群は可解群であり、特に単純群ではない。これにより位数 30 (= 2 · 3 · 5) 未満の巡回群でないすべての群は単純群でないことが示される。 もし G が位数30の単純群であれば、n3 は 10 (= 2 · 5) を割り切り、n3 ≡ 1 (mod 3) が成り立つ。よって n3 = 1, 10 であり、G が単純群なので n3 = 1 とはならないため、n3 = 10 である。よって G は互いに異なる10種類の位数3の部分群を持ち、それぞれの部分群は位数3の元を2個持つ。つまり G は位数3の元を少なくとも20個持つ。同様に、n5 は 6 を割り切り、n5 ≡ 1 (mod 5) であるため、n5 = 6 である。よって G は位数 5 の元を少なくとも 24 (= 4 · 6) 個持つ。しかし G の位数は 30 しかないので、矛盾が生じた。よって位数 30 の単純群は存在しない。 次に |G| = 42 = 2 · 3 · 7 の場合を考える。n7 は 6 を割り切り、n7 ≡ 1 (mod 7) であるため、n7 = 1 である。よってシロー7-部分群は G の正規部分群であり、G は単純群ではない。 一方で、|G| = 60 = 22 · 3 · 5 の場合は、n3 = 10 と n5 = 6 となることがあり得る。実際に、巡回群でない最小の単純群は5個の元の交代群 A5である。位数は60であり、位数5の巡回置換を24個、位数3の巡回置換を20個持つ。
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