五ケ山ダムとは? わかりやすく解説

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五ケ山ダム

(五ヶ山ダム から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/13 23:06 UTC 版)

五ケ山ダム


貯水池と堤体

所在地 左岸:
福岡県那珂川市大字五ヶ山字東小河内・佐賀県神埼郡吉野ヶ里町大字松隈字小川内、大野
右岸:
福岡県那珂川市大字五ヶ山字倉谷、大野
位置 北緯33度24分48秒 東経130度25分07秒 / 北緯33.41333度 東経130.41861度 / 33.41333; 130.41861
河川 那珂川水系那珂川
ダム諸元
ダム型式 重力式コンクリートダム
堤高 102.5[1] m
堤頂長 556.0 m
堤体積 935,000 m3
湛水面積 130.0 ha
総貯水容量 40,200,000 m3
有効貯水容量 39,700,000 m3
利用目的 洪水調節・流水維持・上水道・渇水対策
事業主体 福岡県
電気事業者
発電所名
(認可出力)
施工業者 鹿島建設飛島建設松本組
着手年 / 竣工年 1983年2018年
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五ケ山ダム(ごかやまダム)は、福岡県那珂川市に所在する、二級河川・那珂川水系那珂川に建設されたダムである。また那珂川支流の大野川(佐賀県)からも注ぐ。[1]

なお、堤体所在地は「五山」(小さい「」)であるが[2]、ダム名は大きい「五山」(大きい「」)である。[1]

概要

下流の南畑ダム、上流の脊振ダムに続いて那珂川に建設された3つ目のダムである。福岡県が維持管理する。五ケ山ダムの用途はこれらの2つのダムの用水目的とは大きく異なり、洪水対策と異常渇水対策を主目的とし、上水道用水および流水維持対策は副目的としている。また、ダム規模としては福岡市や福岡・筑後・佐賀東部の水がめとして地元で有名な江川ダムを大きく上回り、2018年10月時点で福岡県内[注 1]最大の総貯水容量を持つ。

建設に伴い、湖底に沈むなど影響を受ける国道385号(※旧福岡・佐賀県道14号福岡那珂川神埼線(※1977(昭和52)年3月31日まで))、福岡県道136号入部中原停車場線・佐賀県道136号早良中原停車場線、那珂川市道大野橋東小河内線、倉谷七曲線等の各道路については、それぞれ付替道路[注 2]が新たに建設された[3]。 2018年のダム竣工後、供用開始に先立って2019年2月14日からは渇水のため放流が行われた[4]。2020年4月20日に貯水位が初めてサーチャージ水位(満水)を超え、下流に放流された[5]。2020年12月22日に試験湛水を完了し、2021年1月21日に供用が開始された[6]。利水開始後は福岡地区水道企業団が1万立米/日の取水予定である。なお、異常渇水時には福岡市水道局、福岡地区水道企業団、春日那珂川水道企業団が取水予定である。なお、流域の脊振ダム・南畑ダムからは福岡市水道局がそれぞれ6.5万・8.5万立米/日取水している[7]

経緯

住民移転

ダム工事や付替道路建設に伴い、福岡県筑紫郡那珂川町(現・那珂川市)大字五ヶ山字東小河内、網取、道十里、桑河内、大野(この5字を以て五ヶ山の地名の由来となっている)や佐賀県神埼郡吉野ヶ里町大字松隈字小川内、大野などに点在した集落の住民は、補償妥結の上で、下流の福岡県の那珂川町平野部や、佐賀県の佐賀平野部等に集団移転した[2][13]

その他

佐賀県側の小川内地区にあった山祇神社 (やまづみじんじゃ) 境内に、地元住民から「ご神木」と呼ばれている佐賀県天然記念物指定の高さ39m、樹齢700年以上の「小川内の杉」があった。ダム工事に伴い水没するため、事業者が工費約7.8億円を全額負担の上で、山腹斜面にコンクリート製路盤および移動用レールを建設するなど大掛かりな工事を行ったうえで移植作業が行われた。杉と根元、移動鉄枠含めて総重量560トンで、2016年4月に21日間をかけて元の場所から43m上方の山腹(付替道路そば)へと移植された。[14][15][16][17][18]

また、ダム工事の一部に自動振動ローラー(地ならし用)、自動ブルドーザーが使われている[19][20][21]

なお、五ケ山ダム北方の南畑ダム手前の網取地区には、縄文時代から中世までの集落跡である五ヶ山網取遺跡がある。[22]

脚注

注釈

  1. ^ ダム左岸が福岡県にあるもの。
  2. ^ 五ヶ山バイパスと呼ばれていたようであるが、詳細は不詳(公共発注工事名には存在する)

出典

  1. ^ a b c 五ケ山ダムの諸元-福岡県庁ホームページ - ウェイバックマシン(2017年2月27日アーカイブ分)
  2. ^ a b http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/handle/2324/10795/%EF%BD%90215.pdf[リンク切れ][PDFファイルの名無しリンク]
  3. ^ 五ケ山ダム事業計画概要図”. 福岡県五ケ山ダム建設事務所. 2018年7月28日閲覧。
  4. ^ 県管理「五ケ山ダム」において試験湛水中の貯留水の放流を実施します”. 福岡県県土整備部河川管理課 (2019年2月12日). 2019年7月10日閲覧。
  5. ^ 4月20日(月)五ケ山ダムからの放水が行われました。”. NPOなかがわ自然楽会 (2020年4月25日). 2021年8月13日閲覧。
  6. ^ a b c d e 五ケ山ダム建設事業について”. 福岡市水道局. 2021年1月21日閲覧。
  7. ^ 平成28年度 福岡県の水道”. 福岡県庁ホームページ. 2018年10月14日閲覧。
  8. ^ a b c d e 五ケ山ダム建設事業について 福岡市2018年4月7日閲覧
  9. ^ 吉野ケ里町長ら、五ケ山ダムを視察 佐賀新聞2018年4月7日閲覧
  10. ^ 五ケ山ダム「試験湛水」を開始!』(プレスリリース)福岡県 県土整備部 河川開発課、2016年10月20日http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/22925.pdf2018年7月28日閲覧 
  11. ^ 暦通り冷え込む「大寒」 五ケ山ダムでは雪舞う - ウェイバックマシン(2017年2月2日アーカイブ分)
  12. ^ 五ケ山ダム竣工式について 福岡県2018年4月7日閲覧
  13. ^ “五ケ山ダム 元住民ら、水没前に見学”. 佐賀新聞. (2016年11月12日). https://www.saga-s.co.jp/articles/-/3167 2018年7月28日閲覧。 
  14. ^ “県天然記念物「小川内の杉」 移植に7億8600万円”. 佐賀新聞. (2015年6月19日). https://www.saga-s.co.jp/articles/-/32307 2018年7月28日閲覧。 
  15. ^ 樹齢700年ご神木、高台へ ダム水没予定地から移動 - ウェイバックマシン(2017年3月13日アーカイブ分)
  16. ^ “五ケ山ダム予定地の神木、移設完了”. 佐賀新聞. (2016年5月2日). https://www.saga-s.co.jp/articles/-/28416 2018年7月28日閲覧。 
  17. ^ “吉野ケ里町・小川内の神木 前代未聞の移植へ準備”. 佐賀新聞. (2015年9月7日). https://www.saga-s.co.jp/articles/-/50056 2018年7月28日閲覧。 
  18. ^ 福岡県五ケ山ダム建設事務所、「五ケ山ダムだより」、第27号、p.2「「小川内の杉」の移植が完了しました! (PDF) 」、2016年6月発行
  19. ^ 長町基 (2017年1月16日). “建機が自動でダム工事、鹿島がトラック作業の自動化に成功”. Building IT. ITmedia Inc.. 2018年7月28日閲覧。
  20. ^ http://www.kensetsunews.com/?p=75779[リンク切れ][名無しリンク]
  21. ^ 島津翔 (2016年8月2日). “建設機械を自動運転、ダムも建物も無人で造る”. 日経ビジネスオンライン. 日経BP社. 2018年7月28日閲覧。
  22. ^ 今井涼子、岡寺未幾、岸本圭、佐々木隆彦、飛野博文、吉田東明『福岡県営五ヶ山ダム関係文化財調査報告Ⅱ 五ケ山I 福岡県文化財調査報告書 第237集 (PDF)』(レポート)、九州歴史資料館、2013年3月31日。2018年7月28日閲覧

関連項目

外部リンク




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