主イデアルに関する昇鎖条件とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 主イデアルに関する昇鎖条件の意味・解説 

主イデアルに関する昇鎖条件

(主イデアルについての昇鎖条件 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 01:22 UTC 版)

抽象代数学において、昇鎖条件包含関係による半順序が入ったの主左、主右、あるいは主両側イデアルの半順序集合に適用することができる。主イデアルに関する昇鎖条件 (ascending chain condition on principal ideals) (ACCP と省略される)が満たされるとは、環において与えられたタイプ(左/右/両側)の主イデアルの真の無限昇鎖が存在しないということである。あるいは別の言い方をすれば、すべての昇鎖はやがて一定になる。

片割れである降鎖条件もまたこれらの半順序集合に適用することができるが、しかし用語 "DCCP" の必要は現在は全くない、なぜならばそのような環は既に左あるいは右完全環という名前がついているからである。(下の非可換環の節を参照。)

ネーター環(例えば単項イデアル整域)は典型的な例であるが、いくつかの重要な非ネーター環、特に一意分解整域と左または右完全環もまた (ACCP) を満たす。

可換環

ネーター整域において 0 でない非単元は既約元に分解するということはよく知られている。このことの証明は (ACC) ではなく (ACCP) のみに頼っているので、(ACCP) の成り立つ任意の整域において、既約元分解が存在する。(言い換えると、(ACCP) の成り立つ任意の整域は原子整域英語版である。しかし逆は、(Grams 1974) において証明されているように、間違いである。)そのような分解は一意でないかもしれない。分解の一意性を証明する通常の方法はユークリッドの補題を使うが、これは因子が単に既約であるだけでなく素元であることを要求する。実際、次の特徴づけがある: A を整域とする。このとき以下は同値である。

  1. A は UFD である。
  2. A は (ACCP) を満たし、A のすべての既約元は素元である。
  3. A は (ACCP) を満たすGCD整域である。

いわゆる永田判定法 (Nagata criterion) が (ACCP) を満たす整域 A に対して成り立つ: S を素元で生成される A乗法的閉部分集合とする。局所化 S−1A が UFD であれば、A も UFD である。(Nagata & 1975, Lemma 2.1) (これの逆は自明であることを注意しよう。)

整域 A が (ACCP) を満たすことと多項式環 A[t] が (ACCP) を満たすことは同値である[1]A が整域でないとき類似の主張は誤りである[2]

すべての有限生成イデアルが主であるような整域(すなわちベズー整域)が (ACCP) を満たすこととそれが主イデアル整域であることは同値である[3]

定数項が整数であるすべての有理係数多項式からなる環 Z+XQ[X] は (ACCP) を満たさない整域(実は GCD 整域)の例である、というのも主イデアルの鎖




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「主イデアルに関する昇鎖条件」の関連用語

主イデアルに関する昇鎖条件のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



主イデアルに関する昇鎖条件のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの主イデアルに関する昇鎖条件 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS