主よ、深き淵よりわれ汝を呼ぶ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/24 01:05 UTC 版)
『主よ、深き淵よりわれ汝を呼ぶ』(しゅよ、ふかきふちよりわれなんじをよぶ、Aus der Tiefen rufe ich, Herr, zu dir)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの教会カンタータ。BWV131番。聖句は詩篇130篇である。訳はマルティン・ルターによる。同じ聖書箇所に基づくルターのコラールはバッハのカンタータ38番『深き悩みの淵より、われ汝に呼ばわる』でも使われている。
概要
バッハは1707年の夏から翌1708年の夏までミュールハウゼンの聖ブラジウス教会のオルガニストを務めていた。この教会カンタータは、ミュールハウゼンの聖マリア教会の牧師アイルマーからの依頼で作曲された。
1707年、あるいは1708年に作曲されたため、バッハの最も初期のカンタータの1つと考えられている。
ソプラノ、アルト、テノール、バスの4部混声合唱と、テノールとバスのソロ、オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ1と2、通奏低音によって演奏される。
構成
1曲目、3曲目、5曲目の歌詞は聖書の御言葉のみ。2曲目と4曲目は聖句とコラールの応答。このコラールはバルトロメウス・リングヴァルト(Bartholomäus Ringwaldt)による。
1曲目 合唱
オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ1と2、通奏低音
Aus der Tiefen rufe ich, Herr, zu dir. ああ主よ、われふかき淵より汝をよべり
Herr, höre meine Stimme, 主よねがわくはわが声をきき
laß deine Ohren merken 汝の耳を
auf die Stimme meines Flehens! わがねがいの声にかたむけたまえ
深き底を暗示する5度下降音程から始まる。
2曲目 アリア(バス)とコラール(ソプラノ)
オーボエ、通奏低音
So du willst, Herr, Sünde zurechnen, ヤハよ主よなんじもしもろもろの不義に目をとめたまはば
Herr, wer wird bestehen? 誰かよく立つことをえんや
Denn bei dir ist die Vergebung, されどなんじに赦しあれば
daß man dich fürchte. 人におそれかしこまれ給うべし
バスのアリアが詩篇を歌い、ソプラノがコラールを歌う。
3曲目 合唱
オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ1と2、通奏低音
Ich harre des Herrn, われ主を待ち望む、
meine Seele harret, わがたましいはまちのぞむ
und ich hoffe auf sein Wort. われはそのみことばによりて望みをいだく
4曲目 アリア(テノール)とコラール(アルト)
通奏低音
Meine Seele wartet auf den Herrn, わがたましいは衛士があしたを待つにまさり
von einer Morgenwache bis zu der andern. 誠にえじがあしたをまつにまさりて主をまてり
5曲目 合唱
オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ1と2、通奏低音
Israel, hoffe auf den Herrn; イスラエルよ主によりて望みをいだけ
denn bei dem Herrn ist die Gnade そは主にあわれみあり
und viel Erlösung bei ihm. またゆたかなるあがないあり
Und er wird Israel erlösen 主はイスラエルを
aus allen seinen Sünden.そのもろもろのよこしまよりあがないたまわん
2重フーガ。
外部リンク
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