ヴァニタス (ペレーダ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/20 05:38 UTC 版)
イタリア語: Vanitas 英語: Vanitas |
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作者 | アントニオ・デ・ペレーダ |
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製作年 | 1670年ごろ |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 152 cm × 173 cm (60 in × 68 in) |
所蔵 | ウフィツィ美術館、フィレンツェ |
『ヴァニタス』(伊: Vanitas, 英: Vanitas)は、17世紀スペイン・バロック期の画家アントニオ・デ・ペレーダが晩年の1670年ごろにキャンバス上に油彩で制作した絵画で、同じくペレーダによる『騎士の夢』 (王立サン・フェルナンド美術アカデミー、マドリード)、『虚栄の寓意』 (美術史美術館、ウィーン) などとともに現世の儚さを示すヴァニタス画である。作品は現在、フィレンツェのウフィツィ美術館に所蔵されている[1][2]。
作品
静物画は、17世紀初めにだんだん人気のあるジャンルとなっていた[1][2]。17世紀半ばから後半にかけて活躍したアントニオ・デ・ぺレーダも宗教画に加え、かなりの数の静物画を描き[3]、最も成功した静物画家の1人となった[1][2]。彼はバリャドリッドで画家であった父親の工房で学び、後に首都のマドリードに移った。そして、スペインの王室コレクションの監督者であったローマ出身の画家ジョヴァンニ・バッティスタ・クレッシェンツィからカラヴァッジョ後の自然主義様式を吸収したが、それは簡素な構図と細部への非常な配慮を組み合わせたものであった[1][2]。
本作は、ヴァニタスの主題に言及するすべての象徴を提示している[1][2]。髑髏、盛りを過ぎ、枯れつつある花、遊興用のカード、贅沢品、武器などである。思索している美しい天使がそれらの品々を指差し、鑑賞者にそれらを放棄し、救済されるために正しい価値観を持つように促している。地球儀の上に掛かっているカール5世 (神聖ローマ皇帝) の肖像さえ、彼の支配した大帝国がやがて消滅する運命であることを表す。神の聖なる王国とその永遠の正義のみが無限に勝利しつづけるのである。そのことは、背景の布の下に見える最後の審判を描いた絵画によって示されている[1][2]。
ギャラリー
脚注
参考文献
- 五木寛之編著『NHK エルミタージュ美術館 3 近代絵画の世界』、日本放送出版協会、1989年刊行 ISBN 4-14-008625-4
外部リンク
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