ロイヤル・ダッチとシェルの株価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/23 05:14 UTC 版)
「裁定の限界」の記事における「ロイヤル・ダッチとシェルの株価」の解説
1907年に石油メジャーのロイヤル・ダッチ(オランダ)とシェル(イギリス)は利益をロイヤル・ダッチに60%、シェルに40%を分配するという形で提携を行った。その後、2005年に合併してロイヤル・ダッチ・シェルとなるまでオランダ市場ではロイヤル・ダッチが上場し、イギリス市場ではシェルが上場していた(いわゆる二元上場会社)。利益を6:4で分け合う形になるので裁定取引が機能していればロイヤル・ダッチとシェルの株価もまた6:4となるはずである。つまりロイヤル・ダッチの株価は理論的にはシェルの1.5倍でなくてはならない。しかし、実際にはそうならずロイヤル・ダッチの株価はシェルの株価の1.5倍を逸脱した状況が継続していた。 このミスプライシングもまた裁定の限界の具体例の一つと言える。標準的な理論に基けば、ロイヤル・ダッチとシェルでマーケットニュートラル戦略を取れば、ミスプライシングにより利益が得られるはずであり、そのようなマーケットニュートラル戦略が多数の投資家によって行われることで裁定取引の効果により価格は6:4の比率に収斂するはずである。しかし、ここでもノイズトレーダーリスクが働き、このようなマーケットニュートラル戦略はミスプライシング拡大によって短期的に大きな損失を出すリスクがあり、その結果として裁定取引による価格調節機能は限定的になりロイヤル・ダッチとシェルの株価は適正水準から逸脱した状況が継続していた可能性があることが示唆されている。
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