ルネサンスのパラケルスス主義
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「キミア」の記事における「ルネサンスのパラケルスス主義」の解説
ロジャー・ベーコンから偽レイムンドゥス・ルルス文書群にわたって形成された医学的キミアと蒸留術の伝統を背景に登場するのが、パラケルスス(1493/94-1541)である。彼自身は金属の変成には関心をもっていなかったが、自らの医学と自然哲学を語るにあたりキミアの伝統からおおくの概念や用語を借用した。この伝統から彼が学んだもっとも重要な事柄は、自然の事物から純粋な部分と不純な部分を分離することで、それまで不純な部分によって妨げられていた驚くべき効力が純粋な部分から発揮されるという考えであった。 パラケルススはこの考えを事物の「アルカナ」 arcana という概念へと発展させるが、それは結局のところ、自然物の深奥にやどっているクィンタ・エッセンチア(第五精髄)の諸効力の源をさしている。中期の代表作『パラグラヌム』 Paragranum のなかで、事物のアルカナを手に入れるためにパラケルススは「[事物の可視的な]体は消え去らなければならない。なぜならアルカナを邪魔するからである… 体は消え去るが、アルカナは残るのだ」と強調する。彼にとって、アルカナこそ普遍医薬の鍵なのであった。パラケルスス主義者と呼ばれる彼の弟子達は、アルカナの探求のためにキミア的な分離操作を医薬品の調整に盛んにもちいた。その作業における主要な手段が蒸留術だったのである。
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