リンを含む多重結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 01:51 UTC 版)
「有機リン化合物」の記事における「リンを含む多重結合」の解説
リン−炭素二重結合を持つ化合物 (R2C=PR) はホスファアルケン (phosphaalekene)、三重結合を持つもの (RC≡P) はホスファアルキン (phosphaalkyne) と呼ばれる。ホスホリン(ホスファベンゼン)はベンゼン中の炭素1個がリンで置き換えられた構造を持つ化合物である。ホスファアルケンの反応性は多くの場合イミンとは異なり、アルケンと類似する。これはホスファアルケンの最高被占軌道 (HOMO) がリン上の孤立電子対ではなく二重結合にあるためである(イミンでは窒素原子の孤立電子対が HOMO である)。ゆえに、ホスファアルケンはアルケンと同様、ウィッティヒ反応、コープ転位、ディールス・アルダー反応などを起こす。 ベッカー (Becker) らはブルック転位と類似したケト-エノール互変異性を利用し、1974年に最初にホスファアルケンを合成した。 同年、ハロルド・クロトーは (CH3)2PH の熱分解により CH2=PCH3 が生成することを分光学的に示した。 ホスファアルケンの一般的な合成法は適切な前駆体の 1,2-脱離反応を用いるものであり、反応は熱またはジアザビシクロウンデセン (DBU)、DABCO、トリエチルアミンなどの塩基で補助される。 ベッカーが用いた方法は、リン原子を含有するポリフェニレンビニレンの合成にも用いられている。
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