リフトエンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 22:45 UTC 版)
水平飛行用のエンジンとは別に、垂直離着陸専用のエンジン(リフトエンジン)を持つもの。複合推進式とも呼ばれる。 フランスが開発したバルザック Vに代表されるように、この方式では水平飛行用と垂直離着陸用にそれぞれ専門のエンジンを用いるが、後述の欠点も大きく、完全な実用性を持つものは前節で述べた推力偏向式のエンジンとリフトエンジンを併用する場合が多い。 リフトエンジンは水平飛行時には推力源として用いないため、デッドウエイトとなって全体的な性能低下を招くが、エンジンとしては短時間駆動させるだけで用が足りるため、同じ推力の通常のジェットエンジンよりも小型軽量化が可能であり、ある程度はこの欠点は緩和される。しかし、ジェットエンジンは静止時の効率が悪いという欠点があり、リフトエンジンにジェットエンジンを用いることにはその点で問題がある。また、リフトエンジンを集中して配置すると機体全体の重量バランスとの兼ね合いが難しいが、分散配置すると各エンジンの推力を完全に同調させなければならない(同調が不完全では体勢を崩して墜落してしまう)、という技術的困難があった。 この方式の航空機の開発には特にソビエトが熱心で、ヤコブレフ設計局がほぼ専任的に担当していた。ソビエトが実戦配備した唯一の垂直離着陸戦闘機である Yak-38、実用化には成功したが量産されずに終わったYak-41(Yak-141)はいずれも推力変更式エンジン併用のリフトエンジン方式である。 なお、2018年現在ほぼ唯一の実用機であるF-35Bは、離着陸用に別個のエンジンを持つのではなく、メインエンジンから伸びたシャフトで駆動される大推力のリフトファンを用いることで小型・軽量化を図っている。
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