ラン藻との共生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/01 08:14 UTC 版)
アカウキクサの上葉には、粘液質の液体で満たされた小孔があり、そこにラン藻(シアノバクテリア)の仲間であるアナベナの1種(Anabaena azollae)が共生している。アナベナは大気中の窒素をアンモニアに還元して、栄養素として利用可能とする能力をもっており、それによってアカウキクサの繁殖を助けている。アカウキクサが固定できる窒素の量は種や環境条件によっても異なるが、アカウキクサ1m2が1年で0.25kgの窒素を固定するといった報告や、1ha(10000m2)のアカウキクサが1年で1500kgの窒素を同化したという報告もなされている。このうち少なくとも80%の窒素はアナベナによって固定されたものと考えられている。 自然界ではごくまれにアナベナが共生していない個体も見られるが、通常はすべての個体に共生している。しかし根粒菌のように、植物体が成長してから共生関係を構築するわけではなく、アカウキクサの場合は最初から葉の中にアナベナが共生している。胞子で繁殖する場合は、大胞子嚢内にアナベナが侵入し、次世代に引き継がれる。そのため、雑種の場合は常に母親由来のアナベナが次代に受け継がれる。 共生しているアナベナは種によって特性が異なるとされており、異なる種から取り出したアナベナを実験的に交代すると、高温耐性などといった特徴が変化することが知られている。
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