ラダーペダルの操作性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 23:25 UTC 版)
「アメリカン航空587便墜落事故」の記事における「ラダーペダルの操作性」の解説
A300-600型機のラダー・コントロール・システムは、先行機となるA300第1世代(エアバスA300参照)のシステムを基本としていたが、以下の2点が変更されていた。 1点目はA300-600型機では、ラダーペダルの操作力(ペダルを踏むのに要する力)が小さくされたことである。第1世代からA300-600型機へ改良する際に操縦輪の操舵力(操作に必要な力)が減らされており、それと整合させるためだった。 2点目は、ペダル踏み込み量を方向舵の作動量に変換する機構が変更されたことである。ペダルには可動範囲を制限する機械的なストッパーが備わっており、A300型機の第1世代では、その可動範囲は一定であった。そして、操縦の感度がほぼ一定になるように、ペダル踏み込み量に対する方向舵角を飛行速度に応じて変化させる設計であった。それに対してA300-600型機では、ペダル踏み込み量と方向舵角の比率を固定し、ペダルの可動範囲を飛行速度によって変化させる方式に改められた。設計を単純化して深刻な故障を避けるためだった。 この2点の変更により、A300-600型機では小さいペダル操作力で大きな機体運動を生じるようになった。事故後に調査された航空運送事業用の航空機のなかで、A300-600型機のペダル操作力は最も軽かった。事故調査委員会は、これらのラダーの設計内容が周知されていなかったことも副操縦士の過剰な操作に繋がったとしている。
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