モラリストの作風
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 03:16 UTC 版)
モラリストには断続的な形式の記述を好むという特徴があり、その例としては、前もって決められた構成に従うことなく「飛び上がり跳ね回る」(『エセー』III-9)モンテーニュの随筆、ラ・ロシュフコーの箴言集、ラ・フォンテーヌの寓話集、ジャン・ド・ラ・ブリュイエールの性格論集(『人さまざま』)などが挙げられるが、これこそが、モラリストを規定する固有の特徴である。モラリストは構築された論証的、規範的な言説を拒否し、そこに付随する権威と学識に依拠するような身振り――まさに「道徳家」や、フィロゾーフや神学者や護教論者のような身振り――にも異議を唱える。(モンテーニュのように)無秩序さを前面に押し出すやり方にしても、(ラ・ロシュフコーやラ・ブリュイエールのように)描写の簡潔さに価値を置くやり方にしても、断続的な形式の選択は人間の振舞の無限の多様性と、一貫性も確実な意味ももはや存在しない現実世界の複雑さを物語っている。
※この「モラリストの作風」の解説は、「モラリスト」の解説の一部です。
「モラリストの作風」を含む「モラリスト」の記事については、「モラリスト」の概要を参照ください。
- モラリストの作風のページへのリンク