マリア・テレサ王女 (ベラスケスの絵画)とは? わかりやすく解説

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マリア・テレサ王女 (ベラスケスの絵画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 04:19 UTC 版)

『マリア・テレサ王女』
ドイツ語: Infantin Maria Teresa
英語: The Infanta Maria Theresa of Spain
作者 ディエゴ・ベラスケス
製作年 1652-1653年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 127 cm × 98.5 cm (50 in × 38.8 in)
所蔵 美術史美術館ウィーン

マリア・テレサ王女』(マリア・テレサおうじょ、: Infantin Maria Teresa: Infanta Maria Theresa of Spain)は、スペインバロック絵画の巨匠ディエゴ・ベラスケスキャンバス上に油彩で描いた絵画である。1652-1653年に制作され、王女マリア・テレサが14歳の時の肖像画である[1]。マリア・テレサ (1638-1683年) はフェリペ4世ブルボン家イサベル・デ・ボルボンとの間に生まれ、唯一成人した子供である[2]。彼女は継母で従姉妹のマリアナ・デ・アウストリアより4歳若いが、よく似た容姿で、かつては絵画がよく混同された[2]。本作はフェリペ4世によりウィーンハプスブルク家の宮廷に送られ、1653年にフェルディナント3世に受理された[1]。現在、ウィーンの美術史美術館に所蔵されている[1][2][3][4]

作品

本作はベラスケス晩年の肖像画中の傑作の1つと見なされている。暗い背景の中、真珠の飾りをあしらった銀灰色のドレスを身に着け、光に照らされている王女は、荘厳なポーズで表されている。作品の謹厳さ、公式性がドレスの上の2つの時計によって強調されている一方、輪骨スカートが透けて見える左手のハンカチは[4]絵画のハイライトの1つとなっている。絵画は絵具を薄塗りし、画布の上を滑るかのように流麗な仕上げである[2]。衣装と宝石のきわめて洗練された彩色は驚嘆すべきものであり、色彩のニュアンスは微妙に変化している。筆致はそれ自身の生命力によって織物と事物を輝かせ、素晴らしい反射を作り出している。ベラスケスの作品では、影でさえも不透明ではなく透明である[1]

不幸にも、本作は長い年月の間にひどい損傷を受けた[1]。その修復の拙さは、顔、とりわけ口と目にはっきりと現れている。また、キャンバスも描かれた時はもっと大きく、それが現在のサイズにまで切断された可能性が高い[1]

ベラスケスと彼の助手たちは、1663年にマリア・テレサ王女の肖像3点をそれぞれウィーン、ブリュッセルパリの花婿候補たちに送った[3] (王女は最終的にルイ14世と結婚した[1][2][3][4]) 。他の2点のヴァージョンは現在ボストン美術館ルーヴル美術館に所蔵されているが、どちらもベラスケスの真筆とは認められていない[1]。ボストンの作品は全身像で、ウィーンにある本作もかつては全身像として描かれたに違いない[4]。一方、ルーヴル美術館の作品は半身像である[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i モーリス・セリュラス 1980年、140頁。
  2. ^ a b c d e カンヴァス世界の大画家 15 ベラスケス、1983年、91-92頁。
  3. ^ a b c Infanta María Teresa”. 美術史美術館公式サイト (英語). 2024年2月1日閲覧。
  4. ^ a b c d 大高保二郎・川瀬祐介 2018年、86頁。

参考文献

外部リンク




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