ヘラクレス (レーダー)とは? わかりやすく解説

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ヘラクレス (レーダー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/05 09:12 UTC 版)

Héraklès radar
ヘラクレスの空中線部を収容した四角錐状構造物
種別 3次元レーダー
目的 多機能 (捜索捕捉追尾)
開発・運用史
開発国 フランス
送信機
周波数 Sバンド
送信尖頭電力 50 kW
アンテナ
形式 パッシブ・フェーズドアレイ (PESA)
走査速度 60 rpm
仰俯角 +70度
探知性能
探知距離 200 km (110 nmi) (戦闘機に対して)
その他諸元
重量 4トン (甲板上)
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ヘラクレス英語: Héraklès radar)は、タレス社が開発した多機能3次元レーダー[1]

本機は、非常に特徴的なアンテナを採用している。アンテナ本体はメガフォンのようなかたちをしており、上端を削られた底辺4メートルの四角錐型構造物の中に収容されて、毎分60回転という高速で回転して全周を走査する。このメガフォン型アンテナは4×4個のマイクロ波ホーンによって構成されており、それぞれのホーンには4個ずつの送受信機が配されている。またビームの指向は電波レンズによって行なわれており、アンテナ全体で1761個のフェーズ・シフターが配されている。これにより、電波ビームは70度の仰角まで指向できる。タレス社は、この方式を、純粋なアクティブ・フェイズド・アレイ(AESA)式より単純で信頼性に優れ(平均故障間隔(MTBF)は900時間と見積もられている)、パッシブ・フェイズド・アレイ(PESA)式よりもビーム形成能力に優れるものとしている。なおピーク出力は50キロワットとされている[2][3]

本機は、最大で400個の目標を処理可能である。探知距離は、戦闘機に対して200 km (110 nmi)、ステルス性を考慮したミサイルに対して60 km (32 nmi)、シースキマーに対して20 km (11 nmi)とされている。アスター艦対空ミサイルの運用に完全に適合化されており、指令誘導アップリンクを行うことができる[2]

ヘラクレスの空中線部を高速で回転させる「アルザス」

採用国と搭載艦

 フランス海軍

 シンガポール海軍

 モロッコ海軍

参考文献

  1. ^ Thales. “HERAKLES - Phased Array Multi Function Radar” (PDF) (英語). 2014年6月9日閲覧。
  2. ^ a b Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. pp. 229-230. ISBN 9781557502629. https://books.google.co.jp/books?id=4S3h8j_NEmkC 
  3. ^ 野木恵一「世界の艦載多機能レーダー (特集・多機能レーダーと艦艇デザイン)」『世界の艦船』第687号、海人社、2008年3月、88-89頁、 NAID 40015830635 

関連項目

  • SAMPSON - BAEシステムズ社の多機能レーダー。同じSバンドを使用するが、こちらはAESA式アンテナを採用している。

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