ブルレイ (魚)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/09 06:42 UTC 版)
ブルレイ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() |
|||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||
CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
|||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Aetomylaeus bovinus (Saint-Hilaire, 1817) |
|||||||||||||||||||||
シノニム[2] | |||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Bull ray duckbill eagle ray duckbill ray |
ブルレイ(学名:Aetomylaeus bovinus)は、トビエイ科に分類されるエイの一種[3]。ヨーロッパとアフリカの海岸に生息する[2]。
名称
bull ray、duckbill ray[4]、duckbill eagle ray[1]などの英名がある。「bull ray」は頭の形に由来し、「duckbill ray」は長く平い鼻先に由来する[5]。
分布と生息地
分布域は完全には解明されていないが、地中海[6]、黒海、ポルトガルからギニアまでの東大西洋、南アフリカ西部のサルダニャ湾以北の大西洋、南アフリカの残りの海岸からインド洋にかけてモザンビーク南部のマプト湾まで分布し、ザンジバルとケニアからも知られている[5][7]。トビエイ科の他種と同様に、移動性があると考えられている。
砕波帯から水深65m以上の深場、河口やラグーンに生息する。海底や水面を泳ぎ回り、時には水面から飛び出すこともある[5]。
形態
体盤幅は35-148cm、最大222㎝に達する。体重は116kgに達する。雌の方が大型である。吻は長く平らで、カモノハシに似る。背面は明るい茶色で青い縞が並ぶが、縞を持たない個体もいる。腹面は白い[5]。
生態
卵胎生であり、4-6歳で性成熟する。1回の出産で3-4尾を産み、妊娠期間は地域によって異なるが、6-12ヶ月と長い。生態や行動については不明な点が多い。沿岸におけるメガファウナの一部である。生息水深は0-30mと非常に狭く、さまざまな脅威に晒されている。地中海地域全体では非常に珍しく、現在の個体数は減少傾向にある可能性が高い[5]。群れを作って生活する[8]。
カニ、ヤドカリ、イカ、エビ、腹足類、二枚貝など、さまざまな無脊椎動物を捕食する。ハマグリやカキの養殖場に被害を与えることが多い[6]。砂を吸って獲物を掘り出してから捕食する。天敵は大型のサメである[8]。
脅威と保全
漁業や生息地の劣化など、さまざまな脅威に直面している。底付近に生息するため、大型の漁具、特にトロール網、底引網、刺し網、スピアフィッシングによって混獲される。アフリカでの情報はほとんど無いが、1988年に西アフリカ沿岸でエビトロール船によって混獲された本種が、成長段階を問わず年間900トン廃棄された記録がある。
国際自然保護連合のレッドリストでは近絶滅種に指定されている[1]。絶滅の危機に瀕しており、個体群と生息地を保護するための緊急の対策が必要とされている。地中海地域全体で極めて希少とみられ、現在の個体群動向は減少傾向にある可能性が高い。IUCNによると、過去45年間で80%減少している[1]。現在は本種特有の保全活動は行われておらず、個体数、サイズ、行動、生息地、生態、脅威について、多くの研究が必要である。生息地の保護、漁獲の監視と管理、そして教育と意識向上プログラムの実施が効果的である。
脚注
- ^ a b c d Jabado, R.W., Chartrain, E., Cliff, G., Derrick, D., Dia, M., Diop, M., Doherty, P., Dossa, J., Leurs, G.H.L., Metcalfe, K., Porriños, G., Seidu, I., Soares, A., Tamo, A., VanderWright, W.J. & Williams, A.B. (2021). “Aetomylaeus bovinus”. IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T60127A124441812. doi:10.2305/IUCN.UK.2021-1.RLTS.T60127A124441812.en 2025年4月8日閲覧。.
- ^ a b White, W.T. (2014). “A revised generic arrangement for the eagle ray family Myliobatidae, with definitions for the valid genera”. Zootaxa 3860 (2): 149–166. doi:10.11646/zootaxa.3860.2.3. PMID 25283197.
- ^ “エイ目専門・エイ目一覧表 @ 釣絶!魚ゲノム”. 釣絶!魚ゲノム. 2025年3月31日閲覧。
- ^ “Pteromylaeus Bovinus”. Animal Diversity Web. University of Michigan (2011年). 2023年2月10日閲覧。
- ^ a b c d e “Aetomylaeus bovinus summary page”. FishBase. 2025年4月9日閲覧。
- ^ a b Mendez L. (2022年10月). “Guide of Mediterranean Skates and Rays (Aetomylaeus bovinus)”. The Mediterranean Science Commission. 2025年4月9日閲覧。
- ^ Schwartz, F.J. (2005). “Tail Spine Characteristics Of Stingrays (Order Myliobatiformes) Found In The Northeast Atlantic, Mediterranean, And Black Seas”. Electronic Journal of Ichthyology 1 (1): 1-9 .
- ^ a b Endicott, Rachel (2023年3月1日). “Aetomylaeus bovinus (the duck-bill eagle ray or bull ray)” (英語). Project Manaia. 2025年3月31日閲覧。
関連項目
- ブルレイ_(魚)のページへのリンク