ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 (スペイン語 : La Vuelta Ciclista a España 2022 )は、ブエルタ・ア・エスパーニャ の77回目の大会。2022年8月19日から9月11日までの期間で行われた。
レース概要
史上4度目の国外開幕のコースは、山岳ステージが7、中間山岳(丘陵)ステージが4、平坦ステージが6、平坦ステージ&山頂フィニッシュが2と、チームと個人のタイムトライアルが各1の計21ステージで行われる。スタート地点の12か所、ゴール地点の11か所が大会初登場で、5か所の山頂も新たに登場するコースであった[1] 。
史上初の4連覇を目指すプリモシュ・ログリッチ はツール・ド・フランス2022 を落車しリタイヤ、ブエルタの出場が不安視されていたが、最終的に出場を決めた[2] 。当初は出場を予定していたタデイ・ポガチャル は、ブエルタへの出場を取りやめた[3] 。
2022年最後のグランツール は、5年ぶりの国外スタート。2020年に開催する予定だった13年ぶりのオランダ・ユトレヒト で、3年ぶりの開催となるチームタイムトライアルで幕を開けた[4] 。チーム・ユンボ・ヴィスマ が盤石の走りを見せ優勝。先頭でゴールしたロベルト・ヘーシンク がグランツールで初めての総合リーダジャージを獲得となるマイヨ・ロホを取った[5] 。続く第2、第3ステージはオランダらしい平坦区間となり、サム・ベネット が集団ゴールスプリントを制し2連勝を挙げた[6] [7] 。マイヨ・ロホは、同タイムながら着順でマイク・トゥニッセン [6] 、エドアルド・アッフィニ[7] へと渡った。
移動日を挟みスペインへ戦いの舞台を移したブエルタは、第4ステージで4連覇を目指すプリモシュ・ログリッチがアップヒルスプリントを制しステージ優勝し、マイヨ・ロホをチームメイトから引き継いだ[8] 。続く第5ステージでは、メイン集団から逃げ集団に追いつき、先にアタックを仕掛けたジェイク・ステュワートを躱したマルク・ソレル が独走で制した[9] 。逃げ集団に加わっていた、リュディ・モラールが総合首位に立ち、マイヨ・ロホを獲得。ユンボ・ヴィスマが今大会初めてマイヨ・ロホを手放した[9] [10] 。今大会最初の本格山岳ステージで、山頂フィニッシュとなる第6ステージは、山岳区間に入ってから雨が本格的に降る中行われた。深い霧が覆うピコ・ハノで残り6.5kmからジェイ・ヴァイン が独走。自身のプロ初優勝をブエルタの山岳ステージで上げることとなった。マイヨ・ロホはレムコ・エヴェネプールへ渡った[11] [12] 。総合争いは大きくシャッフルされ、4連覇を目指すログリッチは1分1秒差、カラバスは約3分、ランダは6分以上後れを取ることとなった[12] 。第7ステージは、ヘスス・エラダが逃げ集団からスプリントを制してステージ優勝[13] 。山岳ステージの第8ステージは、ステージ早々から逃げ集団が形成される展開。5つ目のカテゴリー山岳の後のスプリントポイントを取ったマス・ピーダスン がサム・ベネットからポイント賞首位を奪った。最後の山岳ではジェイ・ヴァインが飛び出し、ブエルタ初登場のコリャウ・ファンクアヤを制し、今大会2勝目で、山岳賞リーダーに立った[14] 。1週目最終日の第9ステージは、山岳連戦で行われ、逃げ集団から先に飛び出した選手を追い越し、独走したルイス・メインチェス が初のグランツールステージ優勝を挙げた[15] 。メイン集団では、総合首位のエヴェネプールが他の総合勢を振り切り、アユソに34秒、マスに44秒、ログリッチに52秒の差をつけた[15] 。
休息日明けの第10ステージは、個人タイムトライアルで行われ、マイロ・ロホ着用中のレムコ・エヴェネプール が、ログリッチのブエルタ個人TT連勝を止め、グランツール初優勝となる区間優勝を挙げた[16] 。区間2勝を挙げポイント賞争いをしていたサム・ベネットは新型コロナ感染により、第10ステージを前に姿を消した[17] 。第11ステージは、総合5位のサイモン・イェーツ が新型コロナにより姿を消す中スタートを切り、落車が断続的に発生。エヴェネプールのアシストでもあるジュリアン・アラフィリップ がリタイヤした。レースはメイン集団が逃げに追いつき、グランツール初出場のカーデン・クローブスがスプリントを制した[18] 。第12ステージは、32名の巨大な逃げが決まり、残り2㎞でアタックしたリチャル・カラバス が逃げ切り、初のブエルタステージ優勝を挙げた。総合首位のエヴェネプールは落車したものの集団に復帰し、総合争いへは影響はなかった[19] 。平坦な第13ステージは、小規模な逃げ集団ができるものの吸収される。終盤アッカーマンが早掛けするもマス・ピーダスンが捕らえそのまま逃げ切りブエルタ初ステージ優勝[20] 。シエラネバダ初日の第14ステージは、逃げ集団からアタックしたカラパスが今大会2勝目をあげた。残り3㎞でアタックしたログリッチが3位に入り、エヴェネプールは56秒遅れたが、マイヨ・ロホは守った[21] 。第15ステージは超級山頂ゴールで行われ、逃げ集団からクラドックが初めにアタック。アルト・デル・プルチェ目前でヴァインに追いつかれ、最終的に追走集団に吸収された。アルト・オヤ・デ・モラのふもとからはソレルがアタック。残り7kmでソレルに追いついたアレンスマンが、そのまま逃げグランツール区間初優勝。総合勢は、マスが最初にアタック。マスは、区間2位でボーナスポイントを獲得し、タイムを縮めた。ゴール直前でログリッチも仕掛け、エヴェネプールはついていけなかったものの、15秒のロストに留め1分半リードしたまま最終週へ向かうこととなった[22] 。
最後の休息日を明け、最終週が始まる第16ステージ。2名の逃げは残り15kmを切った時点で吸収される。残り3kmを切ったところでプリモシュ・ログリッチがアタックを仕掛ける。結果的に逃げた5名でゴール目前に迫り、ゴールスプリントが始まったところでログリッチが落車[23] 。マス・ピーダスンがスプリントを制し今大会2勝目。マイヨ・ロホのエヴェネプールは、3kmを切ったところでパンクをし、レースとしては争わずフィニッシュをした。総合争いとしては、ログリッチが優勝タイム、エヴェネプールがメイン集団のタイムまで救済され、結果的には8秒ログリッチが差を縮めた[24] 。しかしながら、ログリッチはこの落車の影響により、第17ステージでスタートをせずレースから去ることとなった[25] 。第17ステージは、13人の逃げ集団が形成され、クラドックがアタックしたものの、リゴベルト・ウランが追いつき、ブエルタ区間初優勝[26] 。第18ステージは、序盤にメイン集団で落車が発生し、第8ステージから山岳賞リーダーを守り続けていたジェイ・ヴァインがリタイヤした[27] 。レースは43名の大きな逃げ集団が形成され、1回目のアルト・デル・ピオルナルで6名まで絞り込まれると、ロベルト・ヘーシンクが残り300mまで単独で逃げたが、レムコ・エヴェネプールとエンリク・マスが追いつき、エヴェネプールは振り切ってステージ優勝し、リードを広げた[28] 。最後の山岳がある第20ステージは、序盤はスタナードらが先行するが、山岳賞リーダーのリチャル・カラバスが追いつき、逃げ集団となる。最後の山岳の途中で、カラパスがアタックをみせ山岳賞を確定させる最後の1級山岳ポイントを最初に通過し山岳賞を手中に収めると、そのまま最後まで逃げ切り、今大会3勝目を挙げた。総合勢は、マス、アユソがアタックする素振りもあったが、ゴールまで集団のままで争うことなくゴールした[29] 。最終日の第21ステージは、マドリードの周回コースで行われ、集団ゴールスプリントをファン・セバスティアン・モラノが制し、区間初優勝を挙げた。エヴェネプールは、集団から少し遅れてフィニッシュをし、総合優勝を決めた[30] 。
今大会は、183選手が参加し、134選手が完走を果たした(25人選手がコロナによる棄権)。エヴェネプールは、グランツールを始めて完走するとともに、ベルギー人として、1977年以来のブエルタ制覇、1978年以来のグランツール制覇となる総合優勝とヤングライダー賞を獲得した。ポイント賞はマス・ピーダスン、山岳賞はリチャル・カラパスが獲得した。チーム成績はUAEチームエミレーツ、総合敢闘賞にはマルク・ソレルが選ばれた[30] 。
日程
出場チーム・エントリーリスト
特記
No.
ゼッケンナンバー
総合優勝者 (マイヨ・ロホ)
最終順位
最終総合順位
ポイント賞獲得者 (マイヨ・ベルデ)
DNS
Fid Not Start 当該ステージ開始前に棄権。
山岳賞獲得者 (マイヨ・ルナレス・アスーレス)
DNF
Did Not Finish 当該ステージで不完走。途中棄権。
ヤングライダー賞獲得者 (マイヨ・ブランコ)
OTL
Outside time limit 当該ステージで所定時間内不完走。タイムオーバー。
総合敢闘賞獲得者 (スーペルコンバティボ)
DSQ
DiSQualified 当該ステージで失格。
チーム総合時間賞獲得者
各章の遷移
^ 第1ステージはポイントが設定されなかったものの、表彰式ではプリシュモ・ログリッチがジャージを受けとり、第2ステージで着用した。
^ 第1ステージはポイントが設定されなかったものの、表彰式ではクリス・ハーパーがジャージを受けとり、第2ステージで着用した。
^ 第7,8,16-21ステージでは、レムコ・エヴェネプールが総合1位のため、フアン・アユソがヤングライダー賞2位でジャージを着用した。
^ 第9,10ステージでは、レムコ・エヴェネプールが総合1位のため、カルロス・ロドリゲスがヤングライダー賞2位でジャージを着用した。
^ 第11~15ステージでは、レムコ・エヴェネプールが総合1位で、ヤングライダーの中で2位のカルロス・ロドリゲスがスペインチャンピオンジャージの着用をしたため、フアン・アユソがヤングライダー3位でジャージを着用した。
最終成績
総合成績
ポイント賞
山岳賞
新人賞
チーム成績
脚注
^ cyclowired (2021年12月17日). “2022年ブエルタのコース発表 オランダ開幕&多数の山頂フィニッシュが登場 ”. cyclowired . 2022年9月5日 閲覧。
^ cyclowired (2022年8月16日). “ログリッチのブエルタ出場が決定 史上初の4連覇目指す ”. cyclowired . 2022年9月5日 閲覧。
^ “Tadej Pogacar to skip Spanish Vuelta, focus on 1-day races ” (英語). AP NEWS (2022年7月26日). 2022年9月5日 閲覧。
^ “【Cycle*2022 ブエルタ・ア・エスパーニャ レースレポート:第1ステージ】3年ぶり採用のチームTTはユンボ・ヴィスマ快勝! マイヨロホは失意乗り越えたベテランのヘーシンクへ「感動で体の震えが止まらないよ」 ”. news.jsports.co.jp . 2022年9月2日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第1ステージはユンボ・ヴィスマが優勝し、ヘーシンクがラ・ロハ獲得|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年8月19日). 2022年9月2日 閲覧。
^ a b “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第2ステージはサム・ベネットが区間優勝|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年8月20日). 2022年9月2日 閲覧。
^ a b “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第3ステージはサム・ベネットが連勝|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年8月21日). 2022年9月2日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第4ステージはログリッチが制して総合首位|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年8月23日). 2022年9月2日 閲覧。
^ a b “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第5ステージはソレルが逃げ切り優勝/モラールが総合首位|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年8月24日). 2022年9月2日 閲覧。
^ “2022 ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ まさかログリッチ~ ”. ロードバイクはやめられない (2022年8月25日). 2022年9月2日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 頂上ゴールの第6ステージはヴァインが初優勝/エヴェネプールが総合首位|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年8月25日). 2022年9月2日 閲覧。
^ a b cyclowired (2022年8月26日). “大会最初の山岳でヴァインが独走 ライバルを振り落としたエヴェネプールがマイヨロホ獲得 ”. cyclowired . 2022年9月2日 閲覧。
^ cyclowired (2022年8月27日). “丘陵ステージで5名が逃げ切り エラダがキャリア2度目のブエルタ区間優勝 ”. cyclowired . 2022年9月2日 閲覧。
^ cyclowired (2022年8月28日). “山岳2連戦の初日でヴァインが2勝目 エヴェネプールが総合首位を堅守 ”. cyclowired . 2022年9月2日 閲覧。
^ a b cyclowired (2022年8月29日). “ログリッチが遅れた激坂決戦 メインチェスが勝利し、エヴェネプールはリード拡大に成功 ”. cyclowired . 2022年9月2日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 個人TTの第10ステージはラ・ロハのエヴェネプールが初優勝|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年8月30日). 2022年9月2日 閲覧。
^ cyclowired (2022年8月31日). “休息日明けの個人TTでエヴェネプール圧勝 2位浮上のログリッチを2分41秒リード ”. cyclowired . 2022年9月2日 閲覧。
^ cyclowired (2022年9月1日). “集団スプリントでグローブス勝利 Sイェーツとアラフィリップがレースを去る ”. cyclowired . 2022年9月2日 閲覧。
^ cyclowired (2022年9月2日). “逃げたカラパスが1級山岳制覇 エヴェネプールは落車するも総合リード変わらず ”. cyclowired . 2022年9月2日 閲覧。
^ cyclowired (2022年9月3日). “登坂スプリントでピーダスン圧勝 キャリア初のブエルタ区間優勝を挙げる ”. cyclowired . 2022年9月5日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 頂上ゴールの第14ステージはカラパスが2勝目|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年9月3日). 2022年9月5日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 超級頂上ゴールの第15ステージはアレンスマンが初優勝|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年9月4日). 2022年9月5日 閲覧。
^ “https://twitter.com/jspocycle/status/1567178887804686337 ”. Twitter . 2022年9月6日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第16ステージはピーダスンが2勝目|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年9月6日). 2022年9月7日 閲覧。
^ cyclowired (2022年9月7日). “3年連続覇者ログリッチがをブエルタ・ア・エスパーニャをリタイア ”. cyclowired . 2022年9月7日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 頂上ゴールの第17ステージはウランが逃げ切り初優勝|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年9月7日). 2022年9月8日 閲覧。
^ “https://twitter.com/alpecindck/status/1567835264411734020 ”. Twitter . 2022年9月8日 閲覧。
^ cyclowired (2022年9月9日). “エヴェネプールが最後の山頂フィニッシュ制覇 ヘーシンクの逃げ切りは残り400mで潰える ”. cyclowired . 2022年9月9日 閲覧。
^ “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第20ステージは山岳賞ジャージのカラパスが3勝目|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年9月10日). 2022年9月12日 閲覧。
^ a b “ブエルタ・ア・エスパーニャ2022でベルギーのエヴェネプールが総合初優勝|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp ”. www.cyclesports.jp (2022年9月11日). 2022年9月12日 閲覧。
参考文献
1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969
1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979
1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999