フェンタニルとレミフェンタニル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 01:07 UTC 版)
「フェンタニル」の記事における「フェンタニルとレミフェンタニル」の解説
フェンタニルは長年、術中の最も強力な鎮痛薬として使用されてきたが、レミフェンタニルの登場後はその座を脅かされつつある。 フェンタニルのみで強い手術侵襲による交感神経系反応(血圧上昇、頻脈)や体性神経反応(体動)を抑制しようとすれば、かなり高濃度(3〜4ng/mL以上)を維持する必要がある。しかし、長時間の手術でこのような高い濃度を維持するように、間欠的あるいは持続的に投与すると、フェンタニルは投与終了後の濃度低下が緩やかであるため、副作用である呼吸抑制が遷延して、手術終了時の自発呼吸再開が遅れる欠点がある。一方で、レミフェンタニルは血中や組織で容易に分解される化学構造(エステル結合)を有するので、手術時間にかかわらず投与中止後3〜5分の間に血中濃度が半減する。したがって、レミフェンタニルを投与したために、術後自発呼吸の回復が遅れる可能性は低いといえる。 一方で、フェンタニルは手術中に投与しておけば術後数時間にわたって鎮痛効果が残るという利点がある。また、レミフェンタニルはインフュージョンポンプを用いなければ手術室外での鎮痛に使うことができず(日本ではこの使い方は保険適用外でもある)、患者調節鎮痛法(PCA)にも向かないため、術後鎮痛、集中治療領域や緩和医療領域においては現在もフェンタニルが頻用されている。
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