フィリポ福音書とは? わかりやすく解説

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フィリポによる福音書

(フィリポ福音書 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/27 14:37 UTC 版)

フィリポによる福音書』(―ふくいんしょ)または『ピリポによる福音書』は、1945年エジプトで見つかったナグ・ハマディ写本に含まれていた初期キリスト教グノーシス主義的な文書で、正典に取り入れられなかった外典の一つ。

概要

ナグ・ハマディ写本コプト語で書かれている[1]。もとは2世紀後半に東シリアで成立したと考えられている。 『フィリポによる福音書』と呼ばれているが、本文中に使徒の名前はフィリポしか登場しないので、そう呼ばれているだけである。 福音書とは言いながら、イエスの言行の記録は他のものに比べて少なく、話の一貫性もあまり備えない。初期キリスト教グノーシス主義的な思想にもとづき箴言や戒め、論考などを記した抜粋集のような形式である。

マグダラのマリアに関して、イエスの伴侶と紹介され、イエスが彼女をすべての弟子たちよりも愛していたとの記述が話題を呼んでいる。 マグダラのマリアは2カ所で触れられている。([]で囲んだところは欠損部を推定復元した部分)

三人の者がいつも主と共に歩んでいた。それは彼の母マリヤと彼女の姉妹と彼の伴侶[2]と呼ばれていたマグダレーネーであった。なぜなら、彼の姉妹と彼の母と彼の同伴者はそれぞれマリヤ(という名前)だからである。 — §32、[3]
[主は]マ[リヤ]を[すべての]弟[子]たちよりも[愛して]いた。[そして彼(主)は]彼女の[口にしばしば]接吻した。他の[弟子たちは] 主が[マリ]ヤ[を愛しているのを見た。]彼らは主に言った。「あなたはなぜ、私たちすべてよりも[彼女を愛]されるのですか?」救い主は答えた。「なぜ、私は君たちを彼女のように愛せないのだろうか」 — §55b、[3]

脚注

  1. ^ 小説『ダ・ヴィンチ・コード』では、アラム語の文献とされているが、これは誤りであることが多く指摘されている。
  2. ^ 「伴侶」と訳されている部分の原語は koinônos (κοινωνός)で、「連れ」「仲間」の意。英訳 companion、独訳 Gefährtin、仏訳 compagne。訳語である漢語「伴侶」には「配偶者(夫または妻)」の意味はない。日本語においても「生涯の伴侶」「一生の伴侶」などといった時に、初めて比喩的に「配偶者」を意味する。
  3. ^ a b 大貫、1998

参考文献

関連項目


フィリポ福音書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/03 05:00 UTC 版)

仮現説」の記事における「フィリポ福音書」の解説

ナグ・ハマディ写本』の『フィリポ福音書』26:aには以下のようにある(〔 〕内は欠損部の推定復元)。 イエスは彼らすべてを密かに欺いた。なぜなら、彼は彼が〔実際に〕(そうで)あったような仕方(姿)では現われなかった。むしろ、人々見られ得る仕方(姿)でこそ現われたからである。〔この〕者たちすべてに彼は現れた。大いなる者には大いなる者として〔現れ〕た。小さな者〔には〕小さな者として〔現〕れた。天使〔たちには〕天使として〔現〕われた。そして人間たちには人間として現れのである…。 — 『フィリポ福音書』26:a 仮現説語源説明したのような記述である。

※この「フィリポ福音書」の解説は、「仮現説」の解説の一部です。
「フィリポ福音書」を含む「仮現説」の記事については、「仮現説」の概要を参照ください。

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