ファイユーム方言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 14:30 UTC 版)
ファイユーム方言(Fayyumic, かつては Bashmuric とも)は、主にナイル渓谷西部の都市ファイユーム (Faiyum) 周辺の方言で、紀元3世紀から10世紀までの間に使用されていたことが確認されている。この方言は、他の方言における /r/(恐らくはじき音の [ɾ])を表す ⲣ の代わりに、/l/ 音(歯茎側面接近音)を表す ⲗ が表記される点がよく知られている。エジプト語の初期の段階では表記上、流音(/r/ と /l/)の区別はされておらず、区別が生じたのは新エジプト語が行政上の言語になった新王国時代からである。新エジプト語の正書法では /l/ の音価を表すのに、/r/ と /n/ を組み合わせた書記素が考案された。デモティック期のエジプト語で /l/ は、/r/ を表す文字に読み分け符号を加えて表された。 オクシュリュンコス方言(または Mesokemic とも)は、エジプト中部の都市オクシュリュンコス (Oxyrhynchus) およびその周辺の方言で、ファイユーム方言との類似が見られる方言である。紀元4世紀から5世紀の間に書かれた写本が残っている。
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