ビーダナシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 23:22 UTC 版)
甑島ではフヨウの幹の皮を糸にして織った衣服(ビーダナシ)が日本で唯一確認されており、甑島の中でも下甑村の瀬々野浦でのみ確認されている。フヨウを表すビーと袖・袂付き長着を表すタナシを組み合わせてビーダナシと呼ぶ。軽くて涼しいために重宝がられ、裕福な家が晴れ着として着用したようである。現存するビーダナシは下甑の歴史民俗資料館に展示されている4着のみであり、いずれも江戸時代か明治時代に織られたものである。フヨウで編んだ紐や綱は南西諸島や九州の島嶼部や伊豆諸島などでも見られ、かつては中国大陸でも甑島同様にフヨウで衣類を編んだという。生糸・木綿・麻・葛で編んだ布は甑島の他の集落でも見られるが、瀬々野浦には生糸・木綿・麻・葛・イチビ・アカメガシワ・フヨウの7種類の材料から作った繊維が存在した。独自の文化が瀬々野浦にのみ存在した背景としては、昭和30年代頃までは陸路での訪問が難しい孤立集落だったこと、民具や無形文化の伝承に熱心な集落だったことなどが挙げられる。
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