ビルマ文字拡張Aとは? わかりやすく解説

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ビルマ文字拡張A

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/23 16:00 UTC 版)

ビルマ文字拡張A
Myanmar Extended-A
範囲 U+AA60..U+AA7F
(32 個の符号位置)
基本多言語面
用字 ビルマ文字
主な言語・文字体系
  • ここに言語名を羅列
割当済 32 個の符号位置
未使用 0 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
5.2 28 (+28)
7.0 32 (+4)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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ビルマ文字拡張A(ビルマもじかくちょうA、英語: Myanmar Extended-A)は、Unicodeの141個目のブロック

解説

ビルマ文字のうち、ビルマ文字ブロックに含まれていない、ミャンマーインド東部に居住する少数民族が話す諸言語のための文字が収録されている。

Unicodeのバージョン5.2において初めて追加された。

収録文字

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
カムティ語用シャン文字の子音字
U+AA60 MYANMAR LETTER KHAMTI GA 子音[ɡ]を表す。 g
U+AA61 MYANMAR LETTER KHAMTI CA 子音[c]を表す。 c
U+AA62 MYANMAR LETTER KHAMTI CHA 子音[cʰ]を表す。 ch
U+AA63 MYANMAR LETTER KHAMTI JA 子音[ɟ]を表す。 j
U+AA64 MYANMAR LETTER KHAMTI JHA 子音[ɟʱ]を表す。 jh
U+AA65 MYANMAR LETTER KHAMTI NYA 子音[ɲ]を表す。 ny
U+AA66 MYANMAR LETTER KHAMTI TTA 子音[ʈ]を表す。
U+AA67 MYANMAR LETTER KHAMTI TTHA 子音[ʈʰ]を表す。 ṭh
U+AA68 MYANMAR LETTER KHAMTI DDA 子音[ɖ]を表す。
U+AA69 MYANMAR LETTER KHAMTI DDHA 子音[ɖʱ]を表す。 ḍh
U+AA6A MYANMAR LETTER KHAMTI DHA 子音[dʱ]を表す。 dh
U+AA6B MYANMAR LETTER KHAMTI NA 子音[n]を表す。 n
U+AA6C MYANMAR LETTER KHAMTI SA 子音[s]を表す。 s
U+AA6D MYANMAR LETTER KHAMTI HA 子音[h]を表す。 h
U+AA6E MYANMAR LETTER KHAMTI HHA 子音[ɭ]を表す。

Unicode公式の文字名は誤りである。

U+AA6F MYANMAR LETTER KHAMTI FA 子音[f]を表す。 f
U+AA70 MYANMAR MODIFIER LETTER KHAMTI REDUPLICATION 直前の音節を2回繰り返して読むことを表す記号。
U+AA71 MYANMAR LETTER KHAMTI XA 子音[x]を表す。

現在は字母/g/(U+AA60 ꩠ)に置き換えられている[1]

以下に続く3つの文字は現在は使われておらず、廃字となっている[1]

x
U+AA72 MYANMAR LETTER KHAMTI ZA 子音[z]を表す。

現在は字母/gh/(U+1003 )に置き換えられている[1]

z
U+AA73 MYANMAR LETTER KHAMTI RA 子音[r]を表す。 r
カムティ語用シャン文字の表語文字
U+AA74 MYANMAR LOGOGRAM KHAMTI OAY 音素列[oaʲ]を表す。

以下に続く文字は会話の書き取りにおいて成長記号と共に用いられ、声調によって意味の変わる間投詞などを表す[1]

ꩴႊは愛する人を、ꩴးは遠くにいる人を呼ぶ際に用いる間投詞である[1]

oay
U+AA75 MYANMAR LOGOGRAM KHAMTI QN 音素列[ˀn]を表す。

ꩵႈは"いいえ"、ꩵႉは"与える"、ꩵးは"はい"を表す[1]

qn
U+AA76 MYANMAR LOGOGRAM KHAMTI HM 音素列[mʰ]を表す。

ꩶႚは否定を表す接頭辞を、ꩶႊは質問への応答であることを表す標識を、ꩶးは"そこ"を表す[1]

hm
アイトン語の記号及び字母
U+AA77 MYANMAR SYMBOL AITON EXCLAMATION アイトン語における感嘆符(!)。 !
U+AA78 MYANMAR SYMBOL AITON ONE アイトン語における数字1 1
U+AA79 MYANMAR SYMBOL AITON TWO アイトン語における数字の2 2
U+AA7A MYANMAR LETTER AITON RA 子音[r]を表す。 r
パオ・カレン語の声調記号
U+AA7B MYANMAR SIGN PAO KAREN TONE
タイ・ライン語の声調記号
U+AA7C MYANMAR SIGN TAI LAING TONE-2
U+AA7D MYANMAR SIGN TAI LAING TONE-5
シュエ・パラウン語の字母
U+AA7E MYANMAR LETTER SHWE PALAUNG CHA 子音[t͡ɕʰ]を表す。
U+AA7F ꩿ MYANMAR LETTER SHWE PALAUNG SHA 子音[ɕ]を表す。

小分類

このブロックの小分類は「カムティ語用シャン文字の子音字」(Khamti Shan consonants)、「カムティ語用シャン文字の表語文字」(Khamti Shan logograms)、「アイトン語の記号及び字母」(Aiton symbols and letters)、「パオ・カレン語の声調記号」(Pa'o Karen tone mark)、「タイ・ライン語の声調記号」(Tai Laing tone marks)、「シュエ・パラウン語の字母」(Shwe Palaung letters)の6つとなっている[2]

カムティ語用シャン文字の子音字(Khamti Shan consonants

この小分類にはビルマ文字のうち、インド東部で話されるタイ・カダイ語族カムティ語英語版で用いられる子音字が収録されている。

カムティ語用シャン文字の表語文字(Khamti Shan logograms

この小分類にはビルマ文字のうち、カムティ語で用いられる、1文字で発音と意味を持つ単語の両方の機能を担う表語文字が収録されている。

これらの文字は書き言葉では用いられず、会話を書き取る際に用いられ、声調によって意味が変化する間投詞などをこの文字に声調記号を付けることで表す[1]

アイトン語の記号及び字母(Aiton symbols and letters

この小分類にはビルマ文字のうち、インド東部で話されるタイ・カダイ語族のアイトン語英語版及びパーケ語英語版[1]で用いられる記号及び文字が収録されている。

パオ・カレン語の声調記号(Pa'o Karen tone mark

この小分類にはビルマ文字のうち、ミャンマーシャン州などに居住するパオ族英語版によって話される、シナ・チベット語族チベット・ビルマ語派に属するカレン諸語の一つであるパオ語で用いられる声調記号が収録されている。

タイ・ライン語の声調記号(Tai Laing tone marks

この小分類にはビルマ文字のうち、ミャンマーのカチン州及びザガイン地方域などで話されている、タイ・カダイ語族タイ・ライン語英語版で用いられる声調記号が収録されている。

シュエ・パラウン語の字母(Shwe Palaung letters

この小分類にはビルマ文字のうち、ミャンマーのシャン州及び中華人民共和国雲南省などに居住するトーアン族(中国語: 徳昂族)によって話されている、オーストロアジア語族モン・クメール語派に属するパラウン語の方言で用いられる字母が収録されている。

カムティ体

ビルマ文字で表記される言語のうち、主にインド東部で話されているタイ・カダイ語族カムティ語英語版アイトン語英語版パーケ語英語版ではカムティ体(Khamti style)と呼ばれる、書き始めに点の付いた字形が用いられている。この書式は多くの文字で通常のミャンマー式の字形と比べて点の有無程度の字形差しか存在せず、文字の機能自体に変化もないため符号上は統一されていたが、ミャンマー式の書体ばかりが増え、カムティ体を表記に用いる言語コミュニティの文化喪失が懸念されていた。この問題に対処するため、現在はカムティ体を異体字セレクタVS1(U+FE00)を用いて表現することができるようになっている[3]

異体字選択に係る制御綴り
U+ AA60 AA61 AA62 AA63 AA64 AA65 AA66 AA6B AA6C AA6F AA7A
既定の符号位置
VS1添加 (カムティ体) ꩠ︀ ꩡ︀ ꩢ︀ ꩣ︀ ꩤ︀ ꩥ︀ ꩦ︀ ꩫ︀ ꩬ︀ ꩯ︀ ꩺ︀

文字コード

ビルマ文字拡張A(Myanmar Extended-A)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+AA6x
U+AA7x ꩿ
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
5.2 U+AA61..AA7B 27 L2/08-145 Michael Everson (14 April 2008), Ordering and character properties for Myanmar Khamti Shan characters (WG2 N3436) (英語)
L2/08-181 Martin Hosken (28 April 2008), Proposal to add Khamti Shan Characters to the Myanmar Blocks (WG2 N3423) (英語)
U+AA60 1 L2/08-276 Martin Hosken (4 August 2008), Extended proposal to add Khamti Shan Characters to the Myanmar Blocks (WG2 N3492) (英語)
7.0 U+AA7C..AA7F 4 L2/11-130 Martin Hosken (28 April 2011), Proposal to add minority characters to Myanmar script (英語)
L2/12-012 Martin Hosken (6 February 2012), Proposal to add minority characters to Myanmar script (WG2 N3976) (replaces L2/11-130) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i Martin Hosken (2008年8月4日). “Extended proposal to add Khamti Shan Characters to the Myanmar Blocks (WG2 N3492)” (英語). Unicode. 2025年2月24日閲覧。
  2. ^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - UAA60.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2025年2月23日閲覧
  3. ^ Martin Hosken, Stephen Morey (2014年8月5日). “Proposal to Disunify Khamti Style Letters from Myanmar (revised)” (英語). Unicode. 2025年2月17日閲覧。

関連項目




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