ド・ラーム・コホモロジーとは? わかりやすく解説

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ド・ラームコホモロジー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/06 00:56 UTC 版)

閉じてはいるが完全ではない穴あき平面英語版(punctured plane)上の微分形式に対応するベクトル場、この空間のド・ラームコホモロジーが非自明であることを示している。

ド・ラームコホモロジー: de Rham cohomology)とは可微分多様体のひとつの不変量で、多様体上の微分形式を用いて定まるベクトル空間である。多様体の位相不変量である特異コホモロジーとド・ラームコホモロジーは同型になるというド・ラームの定理がある。

簡単な例

多様体上の微分形式 ω = 0 となるとき閉形式ω = となる η が存在するとき完全形式と呼ぶ。ユークリッド空間においてはポアンカレの補題によれば、閉形式はいつでも完全形式である。つまり k 次微分形式 ω = 0 ならある k − 1 次微分形式 η が存在してω = となる。

しかし円周において角測度に対応する 1 次微分形式 ω を考える。円周は 1 次元の多様体であるから = 0 である、すなわち閉形式である。一方で ω = df となるような円周上全体で定義された微分可能関数 f は存在しない。なぜならそのような関数にたいし df を円周上で積分すると微積分学の基本定理から 0 になるが ω を円周上で積分すると になるからである。このことから ω は閉形式であるが完全形式ではないことがわかる。

このように一般の多様体においては閉形式が完全形式であるとはかぎらない。閉形式の空間と完全形式の空間の差をはかるのがド・ラームコホモロジーである。

定義

M を微分可能多様体とし Ω0(M)M 上の滑らかな函数の空間、Ωk(M)M 上の k微分形式の空間とする。dk: Ωk(M) → Ωk+1(M)外微分をあらわし、上で述べたように ker dk の元を閉形式、Im dk の元を完全形式と呼ぶ。dk+1dk = 0 をみたすことから次の系列

出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。2016年5月

外部リンク


ド・ラームコホモロジー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/07 04:41 UTC 版)

鎖複体」の記事における「ド・ラームコホモロジー」の解説

詳細は「ド・ラームコホモロジー」を参照 滑らかな多様体上の k 次微分形式全体 Ωk(M) は、加法の下でアーベル群をなす(実は R-ベクトル空間である)。 外微分 dk は、Ωk(M) を Ωk+1(M)写像し、d∘d = 0 であることが本質的に二次微分対称性から従う。よって、k 次微分形式のなすベクトル空間たちに外微分考えたものは双対鎖複体である: 0 → Ω 0 ( M )   → d 0   Ω 1 ( M )d 1   Ω 2 ( M )d 2   Ω 3 ( M ) → ⋯ . {\displaystyle 0\to \Omega ^{0}(M)\ {\stackrel {d^{0}}{\to }}\ \Omega ^{1}(M){\stackrel {d^{1}}{\to }}\ \Omega ^{2}(M){\stackrel {d^{2}}{\to }}\ \Omega ^{3}(M)\to \cdots .} この複体コホモロジーが、ド・ラームコホモロジーである: H d R 0 ( M ) = ker ⁡ d 0 = {\displaystyle H_{\mathrm {dR} }^{0}(M)=\ker d^{0}=} { M 上実数局所定数関数 } ≅ R {\displaystyle \cong \mathbb {R} } #{M の連結成分}, H d R k ( M ) = ker ⁡ d k / imd k1 . {\displaystyle H_{\mathrm {dR} }^{k}(M)=\ker d^{k}/\operatorname {im} d^{k-1}.}

※この「ド・ラームコホモロジー」の解説は、「鎖複体」の解説の一部です。
「ド・ラームコホモロジー」を含む「鎖複体」の記事については、「鎖複体」の概要を参照ください。

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