タテ社会の人間関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/26 14:37 UTC 版)
『タテ社会の人間関係』(タテしゃかいのにんげんかんけい)は、中根千枝の著書。
概要
日本社会においての人間関係は欧米とは異なっているとのこと。欧米は個人主義や契約の精神が根付いているのに対して、日本は場を強調して、内と外を強く意識する社会構造であり、この日本の社会構造にはどのような条件が考えられるかを述べている[2]。
2014年に著者は、この書籍が長く売れ続けている理由としては、書かれていることは出版時点での現象ではなく理論であるからとする。2014年に存在する不幸な事態にしても、縦社会の悪い部分が出ているからとする。縦の関係が強く出ているのは日本の特徴で、日本では会社でも役所でも年次が凄く気にされているとする[2]。
この書籍によると社会を構成する要因には2つの異なる原理があるとのことで、それは学歴や地位などの資格と、会社や地域などの場とのこと。インドは資格が優先され、日本は場が優先されるとのこと。場を優先する集団ではグループ意識が強調され、同様なグループとの対抗意識が強まるとのこと。だがそこには異なる資格を持つ人が混在してるために構造が不安定であるために、集団意識を高揚させて感情的な結びつきを維持する必要があるとのこと。ここで重要になるのが仲間同士の接触で、接触期間が少ない新入りは底辺となり、接触している期間の長さによる年功序列で地位が決まるとのこと。この序列から縦社会となるとのこと[3]。
日本国内では117万部で、13ヶ国語に翻訳された。著者は編集部からは何でもよいから書いてほしいといわれていたために、当時は日本に帰国したばかりであった著者は、社会構造の観点から日本社会を分析する論文を書くことにした。著者本人は書いてはみたものの誰が読むのだろうと思っていたが、世に出れば思いのほか反響があり、外国語に翻訳したいという要望も相次いだが断っていた。複数の出版社からは平易に改稿したものを出版したいという要望が来たものの時間が無いために断っていた。講談社だけから論文をそのまま出版したいという要望が来たために講談社現代新書で出版することになった。『タテ社会の人間関係』というタイトルは担当の編集者が考えていた[4]。
脚注
- ^ “タテ社会の人間関係 | NDLサーチ | 国立国会図書館”. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ). 2025年10月26日閲覧。
- ^ a b “『タテ社会の人間関係』(中根 千枝) 製品詳細 講談社”. 講談社「おもしろくて、ためになる」を世界へ. 2025年10月26日閲覧。
- ^ “タテ社会の人間関係、なぜ一世をふうび…中根千枝さんの「日本論」を振り返る”. 読売新聞オンライン (2021年12月24日). 2025年10月26日閲覧。
- ^ “日本論の”新しい古典”『タテ社会の人間関係』はこうして生まれた”. 現代新書 | 講談社 (2018年9月13日). 2025年10月26日閲覧。
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