スーパーグレード・プルトニウム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 18:12 UTC 版)
「プルトニウム239」の記事における「スーパーグレード・プルトニウム」の解説
アメリカ海軍では、発生する放射線が少ないスーパーグレードのものを使用した核兵器(実際にはアメリカ空軍で配備されている核兵器を元に、核物質をスーパーグレードに交換したもの)を配備している。「スーパーグレード」は業界用語であり、極めて高純度のプルトニウム239(>95%)からなり、自発核分裂を起こすプルトニウム240のような同位体がごくわずかしか含まれないものを指している。このようなプルトニウムは、MW-d/t程度の極めて低い燃焼度の燃料から生産される。中性子照射の時間を短く制限することにより、中性子捕獲を減らしてプルトニウム240など不要な同位体が生成されるのを防ぐことができる。一方で、当然ながら生成されるプルトニウム239の量が少なくなるため、必要量のプルトニウムを得るために大量の燃料棒が必要で、再処理のコストが嵩むため高価なものになる。 プルトニウム240の自発核分裂により生じる中性子線とガンマ線は、保管中の核兵器から放出される放射線の大部分を占めている。哨戒中か停泊中かにかかわらず、潜水艦乗組員は魚雷発射管室やミサイルサイロに保管された核兵器と薄い隔壁を隔てて日常生活を送っている。これは空軍の兵士が核ミサイルと接する時間がごく限られているのとは対照的である。スーパーグレード・プルトニウムは非常に高価であるが、その追加コストは乗組員の被曝低減のため正当化される。スーパーグレード・プルトニウムを使用した核兵器としてはW80核弾頭(海軍向けのmod0)が配備されている。
※この「スーパーグレード・プルトニウム」の解説は、「プルトニウム239」の解説の一部です。
「スーパーグレード・プルトニウム」を含む「プルトニウム239」の記事については、「プルトニウム239」の概要を参照ください。
- スーパーグレード・プルトニウムのページへのリンク