スキーム論での定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 03:22 UTC 版)
スキームの射 f: X → Y が有限射であるとは、Y があるアフィン・スキーム V i = Spec B i {\displaystyle V_{i}={\mbox{Spec}}\;B_{i}} による開被覆を持ち、各 i に対して f − 1 ( V i ) = U i {\displaystyle f^{-1}(V_{i})=U_{i}} が開アフィン部分スキーム Spec Ai になり、f を Ui に制限した射から誘導される環準同型 B i → A i {\displaystyle B_{i}\rightarrow A_{i}} により Ai が Bi 上の有限生成加群になることを言う。またこのとき、X は Y 上有限であると言う。 実際は、f が有限であることと、Y の全ての開アフィン部分スキーム V = Spec B に対して X における V の逆像がアフィンスキーム Spec A で、環 A が有限生成 B 加群となることは同値である。 例えば、任意の体 k に対して Spec ( k [ t , x ] / ( x n − t ) ) → Spec ( k [ t ] ) {\displaystyle {\text{Spec}}(k[t,x]/(x^{n}-t))\to {\text{Spec}}(k[t])} は有限射である。これは、 k [ t ] {\displaystyle k[t]} 加群としての同型 k [ t , x ] / ( x n − t ) ≅ k [ t ] ⊕ k [ t ] ⋅ x ⊕ ⋯ ⊕ k [ t ] ⋅ x n − 1 {\displaystyle k[t,x]/(x^{n}-t)\cong k[t]\oplus k[t]\cdot x\oplus \cdots \oplus k[t]\cdot x^{n-1}} があることから分かる。幾何的には、これは原点で退化するアフィン直線の分岐 n 重被覆なので、有限であることは明らかである。一方、包含による A1 − 0 から A1 への射は有限ではない。ローラン多項式環 k[y, y−1] は k[y] 上の有限生成加群ではないからである。有限射を幾何的に捉えるならば、有限ファイバーを持つ全射を思い描かなければならない。
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