ジアステレオ選択的還元
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 02:45 UTC 版)
「カルボニル還元」の記事における「ジアステレオ選択的還元」の解説
シクロヘキサノンの還元においては、ヒドリド源がアキシャル位を攻撃してエカトリアル位にヒドロキシ基がつくか、エカトリアル位を攻撃してアキシャル位にヒドロキシ基が結合したアルコールができる。アキシャル位への攻撃(赤で示した)ではヒドリドが1,3-ジアキシャル相互作用による反発を受ける。一方エカトリアル位の攻撃ではヒドリドは相互作用を受けることがないが、新しくできたアルコールが基質と水素原子が反応中間体がねじれひずみ(英語版)を受ける(アキシャル位にヒドロキシ基が結合したアルコールのニューマン投影式で下に示した)。 LiBH(Me2CHCHMe)3などの嵩高い還元剤は1,3-ジアキシャル相互作用によってエカトリアル位への攻撃が優先する。NaBH4などの小さい還元剤は1,3-ジアキシャル相互作用が小さいため、重なりによる相互作用を避けるようにアキシャル位への攻撃が優先する。このように立体電子効果も小さな還元剤でアキシャル位への攻撃が優先する理由となっている。しかし、基質がかさ高くなり、1,3-ジアキシャル相互作用も大きくなると還元剤が小さくてもアキシャル位への攻撃は好ましくなくなる。
※この「ジアステレオ選択的還元」の解説は、「カルボニル還元」の解説の一部です。
「ジアステレオ選択的還元」を含む「カルボニル還元」の記事については、「カルボニル還元」の概要を参照ください。
- ジアステレオ選択的還元のページへのリンク