シカゴの軌跡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/14 04:46 UTC 版)
| 『シカゴの軌跡』 | ||||
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| シカゴ・トランジット・オーソリティ の スタジオ・アルバム | ||||
| リリース | ||||
| 録音 | ||||
| ジャンル | ロック | |||
| 時間 | ||||
| レーベル | コロムビア・レコード | |||
| プロデュース | ジェイムズ・ウィリアム・ガルシオ | |||
| 専門評論家によるレビュー | ||||
| シカゴ・トランジット・オーソリティ アルバム 年表 | ||||
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『シカゴの軌跡』(原題:The Chicago Transit Authority)は、シカゴ出身のロック・バンドであるシカゴ・トランジット・オーソリティ (Chicago Transit Authority) によるエポニムのデビュー・アルバムである。1969年に録音され、同年に2枚組アルバムとして発表された。
シカゴ・トランジット・オーソリティは本作発表後にシカゴに改名して、その名を広く知られていった。本作の2022年現在の正式な邦題は『シカゴI(シカゴの軌跡)』である[1]。
解説
1967年のバンド結成時、彼らは「ビッグ・シング」と名乗っていたが、1968年にプロデューサーのジェイムズ・ウィリアム・ガルシオと契約したとき、ガルシオによってシカゴ・トランジット・オーソリティという名をつけられた。彼らのトレードマークは管楽器を導入してジャズにソウルフルなロックン・ロールの雰囲気を融合させることだった。ガルシオ[注釈 1]は直感で彼らの音は成功するだろうと感じ、彼らに試す機会を与えるようにレーベルに働きかけた。
シカゴ・トランジット・オーソリティはその年の後半にコロムビア・レコードと契約を交わし、1969年1月末にデビュー・アルバムを録音した。ガルシオはそのすぐ前にブラッド・スウェット・アンド・ティアーズの2枚目のアルバム[注釈 2]をプロデュースしていた。録音の終わりに、アルバムは2枚組になることが明らかになった。コロムビアはバンドの実績がないことに非常に懐疑的であり、バンドが印税のカットを受け入れるという条件でのみコンセプトを受け入れた。
最初のバンド構成は、キーボーディストのロバート・ラム、ギタリストのテリー・キャス、ベーシストのピーター・セテラの3人がリード・ボーカルを分け合い、ジェイムズ・パンコウとリー・ロックネインが金管楽器、ウォルター・パラゼイダーが木管楽器、ダニー・セラフィンがドラムを演奏した。ラム、キャス、パンコウがこの時期における主な作曲者だった。キャスのギタリストとしての力量は非常に高く、ジミ・ヘンドリックスがファンになったほどである。
本作は1969年4月に発売され、アメリカで17位、イギリスで9位になった。一方で批判的な反応も強く、アルバムは初めヒットシングルを生み出し損ね、彼らはアルバム指向であると思われた。1970年と1971年に「いったい現実を把握している者はいるだろうか?」(7位)、「ビギニングス」(7位)、「クエスチョンズ67/68」(71位/24位 再リリース時)が全て遅れたヒットとなった。彼らが1970年8月に発表した次のアルバムの成功にも支えられて、本作はそれから171週チャートに居座り[2]、ゴールドディスク[注釈 3]に認定された。
シカゴ・トランジット・オーソリティは本作発表後にツアーを行っている間に、シカゴ交通局(シカゴ・トランジット・オーソリティ)から訴訟を受け、名前をシカゴと短くする事を強いられた[2]。
2002年、本作はリマスターされ、ライノ・エンタテインメントから1枚組CDとして再発売された。
収録曲
サイド 1
- イントロダクション - "Introduction" (Terry Kath) – 6:35
- いったい現実を把握している者はいるだろうか? - "Does Anybody Really Know What Time It Is?" (Robert Lamm) – 4:35
- ビギニングス - "Beginnings" (Lamm) – 7:54
サイド 2
- クエスチョンズ67/68 - "Questions 67 and 68" (Lamm) – 5:03
- リッスン - "Listen" (Lamm) – 3:22
- ポエム58 - "Poem 58" (Lamm) – 8:35
サイド 3
- フリー・フォーム・ギター - "Free Form Guitar" (Kath) – 6:47
- サウス・カリフォルニア・パープルズ - "South California Purples" (Lamm) – 6:11
- アイム・ア・マン - "I'm A Man" (Jimmy Miller/Steve Winwood) – 7:43
サイド 4
- 1968年8月29日シカゴ、民主党大会 - "Prologue, August 29, 1968" (James William Guercio) – 0:58
- 流血の日(1968年8月29日) - "Someday (August 29, 1968)" (Lamm/James Pankow) – 4:11
- 解放 - "Liberation" (Pankow) – 14:38
- スタジオにおけるライブ録音で、オーバーダブは無し。
クレジット
- ピーター・セテラ Peter Cetera – ベース、ボーカル
- テリー・キャス Terry Kath – ギター、ボーカル
- ロバート・ラム Robert Lamm – キーボード、ボーカル
- リー・ロックネイン Lee Loughnane – トランペット
- ジェームズ・パンコウ James Pankow – トロンボーン
- ウォルター・パラゼイダー Walter Parazaider – 木管楽器
- ダニー・セラフィン Danny Seraphine – ドラムス
チャート
アルバム
| 年 | チャート | 順位 |
|---|---|---|
| 1969 | ビルボード ポップアルバム | 17 |
| 1969 | イギリス ポップアルバム | 9 |
シングル
| 年 | シングル | チャート | 順位 |
|---|---|---|---|
| 1969 | "クエスチョンズ67/68" | ビルボード ポップシングル | 71 |
| 1970 | "いったい現実を把握している者はいるだろうか?" | ビルボード ポップシングル | 7 |
| 1971 | "ビギニングス" | ビルボード ポップシングル | 7 |
| 1971 | "クエスチョンズ67/68" | ビルボード ポップシングル | 24 |
脚注
注釈
- ^ 1967年にシカゴ出身のバッキンガムズのプロデューサーを務め、管楽器を導入した'Don't You Care'、'Mercy, Mercy, Mercy'などのヒット曲を生み出した。
- ^ 非常に大きなヒットになり、第12回グラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞した。
- ^ 後にプラチナム、ダブル・プラチナムに認定された。
出典
- ^ “Chicago Transit Authority / シカゴI(シカゴの軌跡)”. ワーナーミュージック・ジャパン. 2022年4月1日閲覧。
- ^ a b Giles, Jeff (2015年4月28日). “46 Years Ago: Chicago Release Their Debut Album”. Ultimate Classic Rock. Diffuser Network. 2016年2月19日閲覧。
外部リンク
- Chicago Transit Authority - Discogs (発売一覧)
- シカゴの軌跡のページへのリンク