サ号作戦とは? わかりやすく解説

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サ号作戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/17 22:51 UTC 版)

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サ号作戦
戦争太平洋戦争/大東亜戦争
年月日:1944年3月1日 - 15日
場所インド洋とその周辺
結果:日本軍は目ぼしい戦果を出せず
交戦勢力
大日本帝国 イギリス
指導者・指揮官
左近允尚正少将
戦力
重巡洋艦3隻
損害
商船1隻撃沈
インド洋の戦い (第二次世界大戦)

サ号作戦(さごうさくせん)とは、第二次世界大戦中にインド洋周辺で行われた日本海軍による通商破壊作戦

背景と作戦準備

開戦当初のセイロン沖海戦およびベンガル湾作戦以降、日本海軍のインド洋での作戦は潜水艦の活動のみに限定されていた。ドイツ・イタリアからはこれを補うべくモンスーン戦隊が派遣されていた。 だが、日本海軍南西方面艦隊(司令長官:高須四郎中将)は再びインド洋での水上艦による通商破壊作戦の実施を計画し、1944年1月20日に作戦を発令した[1]

この作戦の目的は、インド洋における連合国の通商路の破壊、太平洋方面の敵戦力への牽制、敵船舶の拿捕・鹵獲による輸送船不足の解消などであった[2]。また、1944年中には陸軍のインパール作戦が計画されており、サ号作戦はこれを支援する意味合いもあった。

戦力としては第十六戦隊(司令官左近允尚正少将)の重巡洋艦「足柄」(旗艦)及び「青葉」の2隻が予定されていたが[3]、北方に於いて連合国軍の活動が活発化したため「足柄」は北方部隊に編入され、代わりに「青葉」が第十六戦隊の旗艦となった[4]

また、連合艦隊に司令部に「足柄」の代艦を要求したところ、当時リンガ泊地にいた第七戦隊の重巡洋艦「利根」、「筑摩」の二隻が派遣された[5]

補給隊として軽巡洋艦「大井」、「鬼怒」、駆逐艦3隻が支援に当たった他、潜水艦や航空部隊も索敵や攻撃待機を行った[6]

「利根」の戦闘詳報によると、敵の勢力圏内での作戦のため、艦首の菊花御紋章を隠す、星条旗を掲げるなどの偽装工作が行われた[7]

経過

「青葉」、「利根」、「筑摩」は3月2日にバンカ泊地を出撃、3月4日からココス島沖で「青葉」を中央に、「利根」を右側に、「筑摩」を左側に配置した間隔3万メートルの横一列陣形で索敵を開始した[8][9]

3月9日午後にようやく「利根」がイギリスの商船ビハール号(ベハー号)を発見した[10]

利根はまず、「電報ヲ打ツナカレ」、次に「我ハ米国巡洋艦ナリ」「重要通信アリ近寄レ」の国際信号を旗流及び発光信号でビハール号に送ったが[11]、ビハール号は救難信号を発信しつつ逃走を試みたため、「利根」は星条旗を降ろして日本の軍艦旗を掲げた上で撃沈し[12]、生存者の乗客・乗員80人(約100人、約115人とも)を捕虜として収容した。

その後12日まで索敵を行ったが敵艦船を発見できず、3月15日に「青葉」、「利根」、「筑摩」はジャカルタへ入港した[13]

結果と余波

結局戦果は商船一隻のみであり、作戦目標にあった商船の鹵獲もできなかった。

その後「利根」では捕虜の取り扱いを巡ってビハール号事件が発生した。

脚注

参考文献

  • アジア歴史資料センター(公式)(防衛省防衛研究所)
    • 『昭和19年3月1日~昭和19年3月31日 軍艦利根戦時日誌』。Ref.C08030573300。
    • 『昭和19年3月9日 軍艦利根戦闘詳報』。Ref.C08030573400。
  • 『戦史叢書54 南西方面海軍作戦―第二段作戦以降』 防衛研究所戦史室編、朝雲新聞社1972年
  • 小板橋孝策 『海軍操舵員よもやま物語 艦の命運を担った"かじとり魂"』 光人社NF文庫、2015年1月(原著1995年)。ISBN 978-4-7698-2868-6

関連項目

外部リンク




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