サム・プレスティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/01 07:06 UTC 版)
オクラホマシティ・サンダー GM | |
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役職 | ゼネラルマネージャー |
所属リーグ | NBA |
基本情報 | |
国籍 | ![]() |
生年月日 | 1977年11月1日(47歳) |
出身地 | マサチューセッツ州コンコード |
キャリア情報 | |
高校 | コンコード=カーリスル高等学校 |
大学 | バージニア・ウェズリアン大学 エマーソン大学 |
経歴 | |
エグゼクティブ時代: | |
2000–2007 | サンアントニオ・スパーズ (アシスタントGM) |
2007– | シアトル・スーパーソニックス / オクラホマシティ・サンダー |
受賞歴 | |
GM時代
アシスタントGM時代
|
サミュエル・プレスティ(Samuel Presti, 1977年11月1日 - )は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州コンコード出身のバスケットボールエグゼクティブ。NBAのオクラホマシティ・サンダーでゼネラルマネージャーを務めている。
経歴
サンアントニオ・スパーズ
エマーソン大学を卒業後、当時サンアントニオ・スパーズでGMを務めていたR・C・ビュフォードからオファーを受けてスパーズでインターンを開始[1]。
その後はビデオコーディネーターに始まり、2002年にスカウト補佐、2003年に選手人事部長、2005年には副社長兼GM補佐と出世を重ねた。
2001年のNBAドラフトではトニー・パーカーの指名を強く勧め、パーカーのプレー映像を持ってビュフォードの自宅を訪れることもあった。スパーズに指名されたパーカーはNBAで18年間プレーし、6度のオールスターゲーム選出、4度の優勝を果たした。パーカーは引退セレモニーの際、自分の指名を勧めてくれたプレスティに感謝の意を表している。
“サム、君がアリーナにいるのはわかっているよ。君とR・Cは時代を先取りしていたね。スパーズでの最初のワークアウトはひどいものだった。それでも君たちは僕に賭けてくれたんだ。"[2]—トニー・パーカー
スパーズでは2003年、2005年、2007年と3度の優勝を果たした。
シアトル・スーパーソニックス / オクラホマシティ・サンダー
2007年6月7日、シアトル・スーパーソニックスのGMに就任した[3]。当時ソニックスのオーナーであったクレイ・ベネットはプレスティを「思慮深く、計画的で、慎重。スパーズの組織内で重要な役割を果たし、チームの勝利とビジネスに貢献した。」と高く評価し、球団社長のレニー・ウィルケンズを副社長に降格させ、プレスティに全権を与えた[4]。これによりプレスティは当時のNBAで最年少、歴代でもジェリー・コランジェロに次ぎ2番目に若いGMとなった[5]。
2006-07シーズン、ソニックスは31勝51敗と低調な成績に終わり、チーム再建へ舵を切った。2007年のNBAドラフトでは1巡目全体2位でケビン・デュラントを指名。さらにエースのレイ・アレンをトレードで放出し、獲得した全体5位指名権でジェフ・グリーンを指名した[6]。また、アレンと同じく主力選手だったラシャード・ルイスもトレードで放出して2巡目指名権と900万ドルのトレードエクセプションを獲得。このトレードエクセプションを利用してカート・トーマスと1巡目指名権を獲得した。また、スパーズで同僚だったP・J・カーリシモを新たなヘッドコーチに雇用した。2007-08シーズンは球団ワーストとなる20勝62敗に終わったが、デュラントが新人王を受賞した[7]。
2008年のNBAドラフトでは1巡目全体4位でラッセル・ウェストブルック、全体24位でサージ・イバーカを指名した。
強豪への成長
2008-09シーズン開幕前にソニックスはオクラホマシティへ移転し、オクラホマシティ・サンダーとなった。このシーズンは開幕から1勝12敗と不振で、ヘッドコーチのカーリシモを解雇し、暫定ヘッドコーチとしてスコット・ブルックスを起用した[8]。最終的に23勝59敗で終え、シーズン終了後にブルックスを正式なヘッドコーチとして雇用した。
2009年のNBAドラフトでは1巡目全体3位でジェームズ・ハーデンを指名。2009-10シーズンはデュラント、ウェストブルック、ハーデンの「ビッグ3」を中心に50勝32敗と前年から大きく成績を伸ばし、第8シードでプレーオフに出場した。このシーズンはデュラントが初のオールスターゲームに選出され、史上最年少となる21歳で得点王を受賞した[9]。デュラントがオールNBAファーストチーム、ハーデンがNBAオールルーキーセカンドチーム、ターボ・セフォロシャがNBAオールディフェンシブセカンドチームに選出されたほか、ヘッドコーチのブルックスがNBA最優秀コーチ賞を受賞した[10]。プレーオフでは1回戦で第1シードのロサンゼルス・レイカーズに2勝4敗で敗れた。
2010-11シーズンはウェストブルックが初のオールスターゲームに選出された[11]。このシーズンは55勝27敗で、第4シードでプレーオフに出場。カンファレンスファイナルに進出したが、ダラス・マーベリックスに1勝4敗で敗れた。
2011-12シーズンはロックアウトにより短縮されたが、47勝19敗で、第2シードでプレーオフに出場した。デュラントが3年連続となる得点王を受賞したほか、ハーデンがシックスマン賞を受賞し、ウェストブルックが2年連続となるオールスターゲーム選出、イバーカがNBAオールディフェンシブファーストチームに選出された[12]。プレーオフでは1回戦でダラス・マーベリックスに4勝0敗、カンファレンスセミファイナルでロサンゼルス・レイカーズに4勝1敗で勝利。カンファレンスファイナルではサンアントニオ・スパーズに4勝2敗で勝利し、ソニックス時代の1996年以来となるNBAファイナルに進出した。マイアミ・ヒートとのファイナルでは第1戦に勝利したが、その後4連敗し優勝を逃した。
デュラント、ウェストブルックの時代
2012-13シーズン開幕前に、ハーデンとの契約延長交渉が難航。プレスティは4年総額5,500万ドルの契約延長をオファーしたが、これはハーデンが希望するマックス契約より450万ドル安いものだった[13]。NBAのラグジュアリータックスのルールにより、高額な税金の支払いを避けたかったサンダーは、ハーデンとのマックス契約に消極的だった。交渉がまとまらず、ハーデンをトレードでヒューストン・ロケッツへ放出し、ケビン・マーティン、ジェレミー・ラム、複数のドラフト指名権を獲得した[13]。このトレードによりデュラント、ウェストブルック、ハーデンの「ビッグ3」が崩れてしまったため、プレスティは批判にさらされた。このシーズンはハーデンを失ったものの、60勝22敗と前年からさらに成績を伸ばし、第1シードでプレーオフに進出。1回戦でハーデン率いるヒューストン・ロケッツに4勝2敗で勝利したが、ウェストブルックが相手のパトリック・ベバリーとの衝突で膝を負傷して長期離脱。ウェストブルックを欠いて迎えたメンフィス・グリズリーズとのカンファレンスセミファイナルでは1勝4敗で敗れてしまった。
2013-14シーズンは59勝23敗で、第2シードでプレーオフに出場。デュラントが初のシーズンMVPを受賞した。プレーオフでは2年ぶりにカンファレンスファイナルに進出したが、サンアントニオ・スパーズに敗れた。
2014-15シーズンはデュラントが足の骨折により長期離脱。ウェストブルックが得点王を受賞したものの、プレーオフ出場を逃した。シーズン終了後、7年間ヘッドコーチを務めたブルックスを解雇し、新たにビリー・ドノバンを雇用した[14]。
2015-16シーズンは55勝27敗で、第3シードでプレーオフに出場。プレーオフでは1回戦でダラス・マーベリックス、カンファレンスセミファイナルではシーズン67勝のサンアントニオ・スパーズに勝利した。過去6年で4度目の出場となったカンファレンスファイナルでは、シーズン73勝の新記録を樹立したゴールデンステート・ウォリアーズを3勝1敗と追い詰めるも、そこから3連敗し敗退した。シーズン終了後、9年間在籍したデュラントがFAでウォリアーズへ移籍した[15]。
一つの時代の終焉
デュラント移籍後の2016-17シーズンはウェストブルックがオスカー・ロバートソンの持つシーズン最多トリプル・ダブルを更新し、シーズンMVPを受賞した。
2017-18シーズンはトレードでポール・ジョージ、カーメロ・アンソニーを獲得し、ウェストブルックを加えて共に新たなビッグ3を結成した。契約があと1年のジョージはシーズン終了後にFAでロサンゼルス・レイカーズへ移籍することを明言していたが、シーズン終了時には意見を変え、サンダーと再契約した。
デュラント移籍後は3年連続でプレーオフ1回戦敗退に終わった。2018-19シーズン終了後、ジョージをトレードでロサンゼルス・クリッパーズへ放出し、シェイ・ギルジャス=アレクサンダー、ダニーロ・ガリナリ、5つのドラフト1巡目指名権、2つの1巡目指名交換権を獲得[16]。さらにフランチャイズプレイヤーのウェストブルックをトレードでヒューストン・ロケッツへ放出し、クリス・ポール、2つのドラフト1巡目指名権、2つの1巡目指名交換権を獲得した[17]。
2019-20シーズンは低迷が予想されていたが、新加入のポールやシェイの活躍もあり、44勝28敗でプレーオフに進出した。プレーオフでは1回戦でウェストブルック、ハーデンを擁するヒューストン・ロケッツに3勝4敗で敗れた。オフにはポールやスティーブン・アダムズ、デニス・シュルーダーら主力選手をトレードで放出。5年間ヘッドコーチを務めたドノバンを解雇し、新たにマーク・デイグノルトを雇用した[18]。
シェイの時代
2020-21シーズンから再建へ舵を切り、ジョージのトレードで獲得したシェイを中心に据えた。チーム成績は大きく低迷し、2021年のNBAドラフトでは1巡目全体6位でジョシュ・ギディーを指名した。プレスティは2020年から2022年までドラフト指名権のトレードを積極的に行い、1巡目指名権と2巡目指名権を19個ずつ、合計38個も獲得し、GMとしての評価を高めた[19]。
2022年のNBAドラフトでは1巡目全体2位でチェット・ホルムグレン、全体12位でジェイレン・ウィリアムズを指名した。
2022-23シーズンはシェイが初のオールスターゲーム、オールNBAファーストチームに選出されるなど、絶対的なエースに成長した[20]。
2023-24シーズンは57勝25敗の好成績で、第1シードで4年ぶりにプレーオフへ進出。カンファレンスセミファイナルでダラス・マーベリックスに敗れた。オフにFAでアイザイア・ハーテンシュタインと契約。また、ギディーをトレードでシカゴ・ブルズへ放出し、アレックス・カルーソを獲得した。
2024-25シーズンは68勝14敗と前年からさらに成績を伸ばし、第1シードでプレーオフに出場。シェイがシーズンMVPを受賞した。プレーオフでは1回戦でメンフィス・グリズリーズ、カンファレンスセミファイナルでデンバー・ナゲッツ、カンファレンスファイナルでミネソタ・ティンバーウルブズに勝利し、13年ぶりとなるNBAファイナル進出を果たした[21]。
脚注
- ^ “Thunder-Spurs: OKC general manager Sam Presti got his start in San Antonio”. oklahoman.com (2012年5月16日). 2025年5月31日閲覧。
- ^ “Thunder Names Mark Daigneault Head Coach”. Oklahoman (2019年11月21日). 2025年5月31日閲覧。
- ^ “Sonics fire coach, demote GM”. twincities.com (2007年4月24日). 2025年5月31日閲覧。
- ^ “Sam Presti: 10 things to know”. nba.com (2019年10月6日). 2025年5月31日閲覧。
- ^ “Presti named Sonics' GM”. oklahoman.com (2007年6月7日). 2025年5月31日閲覧。
- ^ “Celts get All-Star Allen from Sonics for 3 players” (英語). ESPN.com (2007年6月29日). 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Sonics' Durant named NBA Rookie of the Year” (英語). The New York Times. (2008年5月1日). ISSN 0362-4331 2025年6月1日閲覧。
- ^ “NBA-worst Thunder fire Carlesimo after 1-12 start” (英語). ESPN.com (2008年11月22日). 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Grizzlies vs. Thunder - NBA Game Recap - April 14, 2010 | ESPN” (英語). ESPN. 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Thunder's Brooks named NBA coach of the year” (英語). ESPN.com (2010年4月21日). 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Westbrook Selected to Western Conference All-Star Team | Oklahoma City Thunder” (英語). www.nba.com. 2025年6月1日閲覧。
- ^ “James Harden Wins Kia NBA Sixth Man Award | Oklahoma City Thunder” (英語). www.nba.com. 2025年6月1日閲覧。
- ^ a b “Thunder ship star sixth man Harden to Rockets” (英語). ESPN.com (2012年10月28日). 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Thunder Names Billy Donovan Head Coach | Oklahoma City Thunder” (英語). www.nba.com. 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Durant joins Curry, will sign deal with Warriors” (英語). ESPN.com (2016年7月4日). 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Thunder Acquires Gilgeous-Alexander, Gallinari and Five First-Round Draft Picks | Oklahoma City Thunder” (英語). www.nba.com. 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Oklahoma City Acquires Chris Paul, Two First-Round Draft Picks and the Right to Two Swap Picks | Oklahoma City Thunder” (英語). www.nba.com. 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Thunder Names Mark Daigneault Head Coach | Oklahoma City Thunder” (英語). www.nba.com. 2025年6月1日閲覧。
- ^ read, Krysten PeekStaff writer·7 min (2022年7月9日). “In just two short years, Sam Presti and the Thunder are building something special” (英語). Yahoo Sports. 2025年6月1日閲覧。
- ^ “Shai Gilgeous-Alexander Named 2023 NBA All-Star | Oklahoma City Thunder” (英語). www.nba.com. 2025年6月1日閲覧。
- ^ Athletic, The (2025年5月29日). “Thunder advance to NBA Finals, beat Timberwolves in 5 games: Live reaction and updates from Western Conference finals” (英語). The Athletic. 2025年6月1日閲覧。
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