グンジャラ・ゴーンディー文字 (Unicodeのブロック)とは? わかりやすく解説

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グンジャラ・ゴーンディー文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/06 06:33 UTC 版)

グンジャラ・ゴーンディー文字 (Unicodeのブロック)
Gunjala Gondi
範囲 U+11D60..U+11DAF
(80 個の符号位置)
追加多言語面
用字 グンジャラ・ゴーンディー文字
主な言語・文字体系
割当済 63 個の符号位置
未使用 17 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
11.0 63 (+63)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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グンジャラ・ゴーンディー文字(グンジャラ・ゴーンディーもじ、英語: Gunjala Gondi)は、Unicodeブロックの一つ。

解説

南インドマディヤ・プラデーシュ州グジャラート州アーンドラ・プラデーシュ州マハーラーシュトラ州チャッティースガル州などに居住するゴンド族が話す、ドラヴィダ語族に属しテルグ語などと近縁のゴーンディー語を表記するためにかつて用いられた、テランガーナ州アディラバード県のグンジャラ村で発見された写本において用例が見られる[1]グンジャラ・ゴーンディー文字を収録している。なお、ゴーンディー語を表記するための文字はこの文字体系の他にテルグ文字や、現在ゴーンディー語の表記において公的な地位を持っているマサラム・ゴーンディー文字(マサラム・ゴーンディー文字ブロックに収録されている、ゴーンディー語の表記のために1918年に新造されたブラーフミー文字との系統的関係が無い文字体系)が存在する。

グンジャラ・ゴーンディー文字はブラーフミー文字(及びおそらくその派生文字体系であるモーディー文字[1])から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字単独では暗黙の随伴母音/-a/を伴って発音され、別の母音にする際に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。ラテン文字などと同様に左から右への横書き(左横書き)であり、単語毎に分かち書きをする。一つの単語は文字の上方に書かれる水平線(シローレーカー)で繋げて書かれる。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(グンジャラ・ゴーンディー数字)を有している。

符号位置の順序は他のインドの諸文字体系とは異なりブラーフミー文字の順序には従っておらず、グンジャラ・ゴーンディー文字固有の順序に従っている。

Unicodeのバージョン11.0において初めて追加された。

収録文字

ラテン文字転写」の列はブラーフミー系文字のラテン文字への翻字方式の一つであるISO 15919(及び一部はIAST)に従う。

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
独立母音字
U+11D60 𑵠 GUNJALA GONDI LETTER A 短母音[a]を表す。 a
U+11D61 𑵡 GUNJALA GONDI LETTER AA 長母音[aː]を表す。 ā
U+11D62 𑵢 GUNJALA GONDI LETTER I 短母音[i]を表す。 i
U+11D63 𑵣 GUNJALA GONDI LETTER II 長母音[iː]を表す。 ī
U+11D64 𑵤 GUNJALA GONDI LETTER U 短母音[u]を表す。 u
U+11D65 𑵥 GUNJALA GONDI LETTER UU 長母音[uː]を表す。 ū
U+11D66 (予約済み) e
U+11D67 𑵧 GUNJALA GONDI LETTER EE 長母音[eː]を表す。 ē
U+11D68 𑵨 GUNJALA GONDI LETTER AI 二重母音[ai̯]を表す。 ai
U+11D69 (予約済み) o
U+11D6A 𑵪 GUNJALA GONDI LETTER OO 長母音[oː]を表す。 ō
U+11D6B 𑵫 GUNJALA GONDI LETTER AU 二重母音[au̯]を表す。 au
子音字
U+11D6C 𑵬 GUNJALA GONDI LETTER YA 子音[j]を表す。 y
U+11D6D 𑵭 GUNJALA GONDI LETTER VA 子音[ʋ]を表す。 v
U+11D6E 𑵮 GUNJALA GONDI LETTER BA 子音[b]を表す。 b
U+11D6F 𑵯 GUNJALA GONDI LETTER BHA 子音[bʱ]を表す。 bh
U+11D70 𑵰 GUNJALA GONDI LETTER MA 子音[m]を表す。 m
U+11D71 𑵱 GUNJALA GONDI LETTER KA 子音[k]を表す。 k
U+11D72 𑵲 GUNJALA GONDI LETTER KHA 子音[kʰ]を表す。 kh
U+11D73 𑵳 GUNJALA GONDI LETTER TA 子音[t]を表す。 t
U+11D74 𑵴 GUNJALA GONDI LETTER THA 子音[tʰ]を表す。 th
U+11D75 𑵵 GUNJALA GONDI LETTER LA 子音[l]を表す。 l
U+11D76 𑵶 GUNJALA GONDI LETTER GA 子音[ɡ]を表す。 g
U+11D77 𑵷 GUNJALA GONDI LETTER GHA 子音[ɡʱ]を表す。 gh
U+11D78 𑵸 GUNJALA GONDI LETTER DA 子音[d]を表す。 d
U+11D79 𑵹 GUNJALA GONDI LETTER DHA 子音[dʱ]を表す。 dh
U+11D7A 𑵺 GUNJALA GONDI LETTER NA 子音[n]を表す。 n
U+11D7B 𑵻 GUNJALA GONDI LETTER CA 子音[c]を表す。 c
U+11D7C 𑵼 GUNJALA GONDI LETTER CHA 子音[cʰ]を表す。 ch
U+11D7D 𑵽 GUNJALA GONDI LETTER TTA 子音[ʈ]を表す。
U+11D7E 𑵾 GUNJALA GONDI LETTER TTHA 子音[ʈʰ]を表す。 ṭh
U+11D7F 𑵿 GUNJALA GONDI LETTER LLA 子音[ɭ]を表す。
U+11D80 𑶀 GUNJALA GONDI LETTER JA 子音[ɟ]を表す。 j
U+11D81 𑶁 GUNJALA GONDI LETTER JHA 子音[ɟʱ]を表す。 jh
U+11D82 𑶂 GUNJALA GONDI LETTER DDA 子音[ɖ]を表す。
U+11D83 𑶃 GUNJALA GONDI LETTER DDHA 子音[ɖʱ]を表す。 ḍh
U+11D84 𑶄 GUNJALA GONDI LETTER NGA 子音[ŋ]を表す。
U+11D85 𑶅 GUNJALA GONDI LETTER PA 子音[p]を表す。 p
U+11D86 𑶆 GUNJALA GONDI LETTER PHA 子音[pʰ]を表す。 ph
U+11D87 𑶇 GUNJALA GONDI LETTER HA 子音[h]を表す。 h
U+11D88 𑶈 GUNJALA GONDI LETTER RA 子音[r]を表す。 r
U+11D89 𑶉 GUNJALA GONDI LETTER SA 子音[s]を表す。 s
従属母音記号
U+11D8A 𑶊 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN AA 長母音[aː]を表す。 ā
U+11D8B 𑶋 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN I 短母音[i]を表す。 i
U+11D8C 𑶌 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN II 長母音[iː]を表す。 ī
U+11D8D 𑶍 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN U 短母音[u]を表す。 u
U+11D8E 𑶎 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN UU 長母音[uː]を表す。 ū
U+11D8F (予約済み) e
U+11D90 𑶐 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN EE 長母音[eː]を表す。 ē
U+11D91 𑶑 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN AI 二重母音[ai̯]を表す。 ai
U+11D92 (予約済み) o
U+11D93 𑶓 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN OO 長母音[oː]を表す。 ō
U+11D94 𑶔 GUNJALA GONDI VOWEL SIGN AU 二重母音[au̯]を表す。 au
各種記号
U+11D95 𑶕 GUNJALA GONDI SIGN ANUSVARA アヌスヴァーラ

直後に音節が後続する子音字に付き、直後の子音と同じ調音点鼻音が挿入されることを表す。日本語における「」に相当する。

U+11D96 𑶖 GUNJALA GONDI SIGN VISARGA ヴィサルガ

音節末に[h]を伴うことを表す。

ヴィラーマ
U+11D97 𑶗 GUNJALA GONDI VIRAMA ヴィラーマ。殺母音記号。母音/-a/を発音せず子音のみが読まれることを表す。

レンダー上は、子音連続を表す場合に特殊な合字を形成するための不可視の制御文字として機能する[2]

記号
U+11D98 𑶘 GUNJALA GONDI OM ヒンドゥー教などにおける聖音のオームを表す記号。
数字
U+11DA0 𑶠 GUNJALA GONDI DIGIT ZERO 数字の0 0
U+11DA1 𑶡 GUNJALA GONDI DIGIT ONE 数字の1 1
U+11DA2 𑶢 GUNJALA GONDI DIGIT TWO 数字の2 2
U+11DA3 𑶣 GUNJALA GONDI DIGIT THREE 数字の3 3
U+11DA4 𑶤 GUNJALA GONDI DIGIT FOUR 数字の4 4
U+11DA5 𑶥 GUNJALA GONDI DIGIT FIVE 数字の5 5
U+11DA6 𑶦 GUNJALA GONDI DIGIT SIX 数字の6 6
U+11DA7 𑶧 GUNJALA GONDI DIGIT SEVEN 数字の7 7
U+11DA8 𑶨 GUNJALA GONDI DIGIT EIGHT 数字の8 8
U+11DA9 𑶩 GUNJALA GONDI DIGIT NINE 数字の9 9

小分類

このブロックの小分類は「独立母音字」(Independent vowels)、「子音字」(Consonants)、「従属母音記号」(Dependent vowel signs)、「各種記号」(Various signs)、「ヴィラーマ」(Virama)、「記号」(Symbol)、「数字」(Digits)の7つとなっている[2]

独立母音字(Independent vowels

この小分類にはグンジャラ・ゴーンディー文字のうち、頭子音のない母音の音節を表す際に用いられる独立した母音字が収録されている。

子音字(Consonants

この小分類にはグンジャラ・ゴーンディー文字のうち、基本的な子音字が収録されている。

従属母音記号(Dependent vowel signs

この小分類にはグンジャラ・ゴーンディー文字のうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。

各種記号(Various signs

この小分類にはグンジャラ・ゴーンディー文字のうち、母音字や子音字に結合する発音記号などの様々な記号が収録されている。

ヴィラーマ(Virama

この小分類にはグンジャラ・ゴーンディー文字のうち、ヴィラーマ(殺母音記号)と呼ばれる、子音字の持つ暗黙の随伴母音/-a/を読まずに子音のみを発音することを表す記号が収録されている。

記号(Symbol

この小分類にはグンジャラ・ゴーンディー文字のうち、聖音のオームを表す記号1つのみが収録されている。

数字(Digits

この小分類にはグンジャラ・ゴーンディー文字で用いられる固有の数字が収録されている。

文字コード

グンジャラ・ゴーンディー文字(Gunjala Gondi)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+11D6x 𑵠 𑵡 𑵢 𑵣 𑵤 𑵥 𑵧 𑵨 𑵪 𑵫 𑵬 𑵭 𑵮 𑵯
U+11D7x 𑵰 𑵱 𑵲 𑵳 𑵴 𑵵 𑵶 𑵷 𑵸 𑵹 𑵺 𑵻 𑵼 𑵽 𑵾 𑵿
U+11D8x 𑶀 𑶁 𑶂 𑶃 𑶄 𑶅 𑶆 𑶇 𑶈 𑶉 𑶊 𑶋 𑶌 𑶍 𑶎
U+11D9x 𑶐 𑶑 𑶓 𑶔 𑶕 𑶖 𑶗 𑶘
U+11DAx 𑶠 𑶡 𑶢 𑶣 𑶤 𑶥 𑶦 𑶧 𑶨 𑶩
注釈
1.^バージョン17.0時点


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
11.0 U+11D60..11D65,11D67..11D68,11D6A..11D8E,

11D90..11D91,11D93..11D98,11DA0..11DA9

63 L2/15-086 Anshuman Pandey (20 February 2015), Preliminary Proposal to Encode the Gunjala Gondi Script (英語)
L2/15-112 N. Ganesan (15 April 2015), GONDI and GUNJALA GONDI CHARACTER NAMES – Vowels EE and OO (英語)
L2/15-235 Anshuman Pandey (3 November 2015), Proposal to encode the Gunjala Gondi script (英語)
L2/16-200 SEI / Deborah Anderson (21 July 2016), Gunjala Gondi order (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ a b Anshuman Pandey (2015年2月20日). “Preliminary Proposal to Encode the Gunjala Gondi Script” (英語). UTC Document Register. Unicode Consortium. 2025年10月6日閲覧。
  2. ^ a b “The Unicode Standard, Version 17.0 - U11D60.pdf” (PDF). The Unicode Standard (英語). 2025年10月6日閲覧.

関連項目




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