ギョボクとは? わかりやすく解説

ぎょ‐ぼく【魚木】

読み方:ぎょぼく

フウチョウボク科常緑高木熱帯分布し3枚倒卵形小葉からなる複葉初夏黄白色の花を群生する。材での形に作り釣り擬似餌(ぎじえ)にする。あまき。


魚木

読み方:ギョボク(gyoboku)

フウチョウソウ科の半常緑高木薬用植物

学名 Crataeva religiosa


ギョボク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/16 08:25 UTC 版)

ギョボク
ギョボクの花
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
: アブラナ目 Brassicales
: フウチョウボク科 Capparaceae
: ギョボク属 Crateva
: ギョボク C. formosensis
学名
Crateva formosensis (Jacobs) B.S.Sun
シノニム
和名
ギョボク(魚木)
英名
temple plant
ギョボクの三出複葉
(2024年10月 沖縄県本部町 熱帯・亜熱帯都市緑化植物園)

ギョボク(魚木、学名:Crateva formosensis)はフウチョウボク科ギョボク属の落葉小高木。旧フウチョウソウ科

特徴

樹高3–12 mほどで幹は直立し分枝するする。樹皮は平滑で裂けない。葉は3出複葉で薄く、互生する。小葉は長さ5–12 cmほどの披針形~卵形で先は尖り、葉縁は全縁。葉柄は長く、葉脈とともに紫色を帯びることが多い。開花期は5–7月頃で、枝先に花茎を出し、径4 cmほどの白い花を多数つけ、総状花序となる。花色は次第に黄色へ変化する。花弁は4枚、雄しべは多数で花弁より長く目立つ。果実は卵形~楕円形の液果で長さ5 cmほど、長い果柄をもち、垂れ下がる。果実は冬に黄色く熟し、中に数個の種子を有する[1][2][3][4][5][6][7][8]

分類と分布

以前は学名C.falcataまたはC. religiosaとする文献もあったが、POWOでは本種C. formosensis[9]が南西諸島、台湾、中国、ベトナムに分布するとし、C.falcata[10]は中国大陸~東南アジアに分布する別種、C. religiosa[11]は中国、東南アジア、インド、オーストラリア北西部に分布する別種としてそれぞれ扱っている。YListでもギョボクの学名をC. formosensis[12]としていることから、本項における学名の表記はこれらに従った。
図鑑等における本種の分布域の表記は、学名C. formosensis[6][8]C. falcata[2][4]とする文献では九州南部(宮崎、鹿児島)、南西諸島(種子島~先島諸島)~東南アジア、学名C. religiosa[3][7]とする文献では九州南部、南西諸島、東南アジア~オーストラリア、アフリカの熱帯~亜熱帯域に広く分布するとしている。

生育環境

石灰岩地の林や山地の谷沿いに生育する[1][4][5][8]

利用

材が柔らかく加工が容易で、細工物などに利用される。比重も軽いため、ルアー(釣りの疑似餌)に利用されたことが和名「魚木」の由来[1][2][3][4][7][8]。樹皮を和紙の原料に、葉を家畜の飼料に用いた[5]。アルカリ土壌でよく生育する。植栽場所は風当たりが弱く、半日陰で肥沃な場所がよい。剪定は混み合った枝を除去する程度でよい。繁殖は実生や挿し木による[4]。花が美しく、ツマベニチョウ幼虫食草であることから、沖縄各地の学校や公園、庭園などへ多く植栽された時期がある[4][6][8]

ギョボク属

ギョボク属は熱帯を中心に分布する落葉高木または低木で約10種からなるとされる[3]。POWOへは21種が記載[13]されている(2024年現在)。

脚注

  1. ^ a b c (池原 1979, p. 55)
  2. ^ a b c (天野 1982, pp. 39–40)
  3. ^ a b c d (大場 1997, p. 168)
  4. ^ a b c d e f (海洋博記念公園管理財団 1997, p. 161)
  5. ^ a b c (新里 & 嵩原 2002, p. 31)
  6. ^ a b c (大川 & 林 2016, p. 281)
  7. ^ a b c (沖田原 2021, p. 289)
  8. ^ a b c d e (林 & 名嘉 2022, p. 300)
  9. ^ Crateva formosensis (Jacobs) B.S.Sun | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月16日閲覧。
  10. ^ Crateva falcata (Lour.) DC. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月16日閲覧。
  11. ^ Crateva religiosa G.Forst. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月16日閲覧。
  12. ^ ギョボク Crateva formosensis”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月16日閲覧。
  13. ^ Crateva L. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2024年11月16日閲覧。

参考文献

  • 池原直樹「ギョボク」『沖縄植物野外活用図鑑 第6巻 山地の植物』新星図書出版、1979年。  ※ 学名C. falcataとしている
  • 天野鉄夫「ギョボク」『琉球列島有用樹木誌』琉球列島有用樹木誌刊行会、1982年。  ※ 学名C. falcataとしている
  • 大場秀章 著「ギョボク」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 6巻、朝日新聞社、東京、1997年、168頁。ISBN 9784023800106  ※ 学名C. religiosaとしている
  • 海洋博記念公園管理財団「ギョボク」『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。 ISBN 9784902193732  ※ 学名C. falcataとしている
  • 新里孝和; 嵩原建二「ギョボク」『伊江島の植物図鑑』伊江村教育委員会、2002年。  ※ 学名C. falcataとしている
  • 大川智史; 林将之「ギョボク」『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。 ISBN 9784829984024 
  • 沖田原耕作「ギョボク」『おきなわの園芸図鑑 園芸植物とその名前』新星出版、那覇市、2021年。 ISBN 9784909366832  ※ 学名C. religiosaとしている
  • 林将之; 名嘉初美「ギョボク」『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。 ISBN 9784899824350 

外部リンク



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