ウスコミミガイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/02/12 11:49 UTC 版)
ウスコミミガイ | |||||||||||||||||||||||||||
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殻表には細い螺肋が密に走る
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Laemodonta exaratoides Kuroda,1957 |
ウスコミミガイ(薄小耳貝)、学名 Laemodonta exaratoides は、有肺目オカミミガイ科に分類される巻貝の一種。日本列島と朝鮮半島南部に分布する微小な巻貝で、内湾の砂泥干潟や磯に生息する。
成貝は殻長5-7mmほど。貝殻は太い紡錘形・黄褐色・薄質で、表面には細かい螺肋と短毛がある。殻底には小さく窪んだ臍孔があり、その周囲に縫帯が盛り上がる。殻口には内唇2歯・軸唇1歯・外唇内側1歯の計4個の歯が突き出ているが、どれもそれほど発達せず、殻口は比較的広く開く[1][2]。また老成個体では殻表が磨耗して毛と螺肋が失われ、色も白くなったものが見られることもある。
同属のクリイロコミミガイ L. siamensis、マキスジコミミガイ L. monilifera とはよく似ているが、クリイロコミミガイはラグビーボール形で殻頂が欠けること、マキスジコミミガイは貝殻が厚質で殻口の歯が大きいことで区別できる[1]。また生息環境も少しずつ異なる。
岩手県以南の本州・四国・九州・南西諸島、および朝鮮半島南部に分布する[1][2][3]。日本の海産オカミミガイ類としてはナギサノシタタリ Microtralia alba に次いで分布域が広いが、日本以外での記録が少ない。
内湾の干潟や岩礁海岸に生息するが、外洋に近い小規模な入江でも見られる。潮間帯上部の砂泥や砂礫に半ば埋まった転石下で見られ[1]、オカミミガイ科としては比較的海に面した区域を好む種類である。同所的に見られる貝はイシダタミ、アマガイ、タマキビ、ウミニナ、シイノミミミガイ、ナギサノシタタリ、マガキ等、貝類以外にはフナムシ、イソカニダマシ、フタバカクガニ、ケフサイソガニ等が見られる。
人間との関係
- 準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)
- 県別レッドリスト
- 絶滅危惧I類 - 静岡県・兵庫県・大分県
- 絶滅危惧II類 - 香川県・福岡県・長崎県・熊本県
- 準絶滅危惧 - 三重県・佐賀県
- 情報不足 - 愛知県
- 「長崎県未来環境条例」が指定する「希少野生動植物種」 - 2009年[4]
本種は日本産オカミミガイ類では分布が広い方だが、生息地となる内湾の潮間帯上部がコンクリート護岸の建設などで改変されやすく、各地で生息地が消失している。日本の環境省が作成した貝類レッドリストでは、2007年版で準絶滅危惧(NT)として掲載された。その他にも各県が独自に作成したレッドリストで絶滅危惧種として挙げられている[2][5][6]。
参考文献
- ^ a b c d 奥谷喬司編著『日本近海産貝類図鑑』(解説 : 黒住耐二)東海大学出版会 2000年 ISBN 9784486014065
- ^ a b c 環境省生物多様性情報システム 陸産貝類・淡水産貝類レッドリスト 付属説明資料 平成22年3月
- ^ 佐藤正典編『有明海の生きものたち 干潟・河口域の生物多様性』(解説 : 福田宏)2000年 海游舎 ISBN 4905930057
- ^ 長崎県環境部自然保護課 希少野生動植物捕獲等禁止区域について
- ^ 日本のレッドデータ検索システム ウスコミミガイ
- ^ 長崎県環境部自然保護課 長崎県レッドリスト 2011年改訂版
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