インターシティ2とは? わかりやすく解説

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インターシティ2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/25 03:30 UTC 版)

左写真:客車列車(ツインデックス・ヴァリオ)(2015年撮影)
右写真:電車列車(KISS)(2016年撮影)

インターシティ2(Intercity 2)、通称「IC2」は、ドイツ鉄道の都市間列車・インターシティのうち、2階建て車両を用いる列車の名称である[1][2]

概要・車両

インターシティの利用客の増加への対応や旧型車両の置き換えを目的に2015年12月から営業運転を開始した、2階建て車両を用いるドイツ鉄道の列車愛称。後述する開始当初の車両であった2階建て客車は2011年の時点で既に発注が行われ、2013年の営業運転開始を予定していたが、幾度かの納入の遅延が生じ2015年に最初の車両が導入された経緯を持つ[1][2][3][4]

2021年現在、インターシティ2は以下の2車種の列車によって運行されており、塗装は全車種ともインターシティの標準塗装である白の地色と窓下の交通赤色(Verkehrsrot)の帯で統一されている。また、一部の編成にはドイツの主要な観光地域や島、山、自然保護区、景観にまつわる名称が付けられている[2][5][6][7]

機関車・客車

146形電気機関車 + 客車
2016年撮影)
147形電気機関車 + 客車
2019年撮影)
客車(中間客車)
2017年撮影)

インターシティ2の設定当初から営業運転に使用されているのは、ボンバルディア・トランスポーテーション(現:アルストム)が製造した2階建て客車ツインデックス・ヴァリオドイツ語版電気機関車TRAXX(146.5形、147.5形)[注釈 1]を用いる客車列車である[2][3]

各列車は電気機関車と5両(1等客車1両 + 2等客車4両)の客車で構成されており、最高速度は160 km/hである。最後尾の客車は運転台が設置されており終点での機関車の機回しの省略が可能となっている。全客車とも乗降扉は両開きのプラグドアで、中間客車はボギー台車上部の平屋部分、制御客車は1階部分に設置されており、前者は幅を1,860 mmと広く取る事で乗降の容易さが図られている。[1][2]

各座席には1等・2等双方共に充電用のソケットが搭載されており、車内でのwi-fi通信も可能となっている。また、2等客車には自転車が搭載可能なフリースペースが存在する他、制御客車の2階にはガラスによって仕切られたファミリーエリアが8席分設けられている。食堂車(ビストロ)は連結されていないが、各座席へ軽食やスイーツを提供するケータリングサービスが実施されている[1][2]

客車列車の諸元は以下の通り[1]

号車 5 4 3 2 1
形式 DApza 687.2 DBpza 682.2 DBpza 682.2 DBpza 682.2 DBpbzfa 668.2
車種 1等車 2等車 2等制御車
全長 26,800mm 27,270mm
重量 53.8t 53.0t 56.6t
座席数 1等 70
2等 113 113 113 51
折り畳み 1 1 1 13
備考・参考 [1]

電車

KISS(4110形)
2020年撮影)

2019年、ドイツ鉄道は慢性的な車両不足を改善するため、オーストリア列車運行会社であるウェストバーンで余剰となった2階建て電車のKISS(KISS200)を譲受する契約を交わした。それに基づき、塗装変更に加えてフリースペースの位置変更や座席予約システム、乗客情報システム、wi-fi通信への対応といった改造工事が行われ、2020年3月から営業運転を開始した。これらの車両は前述した客車列車よりも速い最高速度200 km/hでの運行が行われており、4110形の形式名が付けられている[2][9][10][11]

2021年時点では4両編成9本が使用されているが、翌2022年から2023年にかけて新造した中間車両が増結され6両編成となる予定である。また、2021年秋季にはウェストバーンから6両編成8本の譲渡も計画されており、これらの車両は2022年以降シュトゥットガルト - チューリッヒ間の国際列車に導入される事になっている。2021年時点での諸元は以下の通り[2][9][10]

号車 6 5 4 1
形式 DABpzfa 110.F DBpza 110.E DBpza 110.D DBpdzfa 110.A
車種 1等2等合造車 2等車
全長 25,360mm 24,820mm 25,360mm
重量 64t 45t 64t
座席数 1等 31
2等 28 95 72 59
折り畳み 4 2 7 4
備考・参考 [12]

運用

2015年の運行開始以降、インターシティ2は従来の1階建て客車を置き換える形で順次運行区間を拡大しており、2021年の時点で以下の系統で営業運転に用いられている。そのうち太線で書かれた系統については始発駅を2時間おきに出発するパターンダイヤが組まれている[13]

脚注

注釈

  1. ^ 147.5形は、TRAXXの最新ブランドである「TRAXX 3」初の採用事例である[8]
  2. ^ ウィーンにあるシュタッドラー・レールの工場でメンテナンスが実施される関係で設定された間合い列車である。

出典

  1. ^ a b c d e f Deutsche Bahn AG (2017-9). Fahrzeuglexikon für den Fernverkehr (Report). pp. 181-191. オリジナルの2019-4-15時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190415234452/https://www.dbmindbox.com/Resources/Public/Images/challenge/KCI-L/Fahrzeuglexikon_2017.pdf 2021年8月26日閲覧。. 
  2. ^ a b c d e f g h Intercity 2: Der Doppeldecker”. Detsche Bahn. 2021年8月26日閲覧。
  3. ^ a b DB orders double-deck trains for long-distance services”. Railway Gazette International (2011年1月12日). 2021年8月26日閲覧。
  4. ^ Deutsche Bahn: Neue IC-Züge kommen mit Verspätung”. Mitteldeutsche Zeitung (2014年12月15日). 2021年8月26日閲覧。
  5. ^ Class 146.5 Electric Locomotive”. Märklin & Cie GmbH. 2021年8月26日閲覧。
  6. ^ Intercity 2 auf den Namen „Leipziger Neuseenland“ getauft”. Detsche Bahn (2015年12月24日). 2015年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月26日閲覧。
  7. ^ Ab 8. März: Alle zwei Stunden mit neuen Zügen von Dresden nach Berlin”. Detsche Bahn (2020年3月5日). 2021年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月26日閲覧。
  8. ^ Class 147.5 Electric Locomotive”. Märklin & Cie GmbH. 2021年8月26日閲覧。
  9. ^ a b 15 Fakten zum Intercity 2-KISS”. Detsche Bahn (2021年5月12日). 2021年8月26日閲覧。
  10. ^ a b c d The First ex-WESTbahn KISS In White”. Railvolution (2020年2月3日). 2021年8月26日閲覧。
  11. ^ 橋爪智之 (2019年5月8日). “「中国製」に食指、ヨーロッパ新興鉄道の思惑”. 東洋経済. 2021年8月26日閲覧。
  12. ^ Deutsche Bahn AG (2021-6). Fahrzeuglexikon für den Fernverkehr (Report). pp. 234-244. オリジナルの2022-1-1時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220101165123/https://download-data.deutschebahn.com/static/datasets/fahrzeuglexikon/Fahrzeuglexikon_2021_06.pdf 2022年8月2日閲覧。. 
  13. ^ Auf diesen Strecken fährt der Intercity 2”. Detsche Bahn (2021年8月12日). 2021年8月26日閲覧。



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