イオン化エネルギーについての補足
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 15:52 UTC 版)
「イオン化エネルギー」の記事における「イオン化エネルギーについての補足」の解説
アルカリ金属などでIEが低く、貴ガスに近づくにつれ値が高まる傾向があることは前述のとおりだが、ベリリウムとホウ素、窒素と酸素などではその傾向が少しだけ逆転している。この理由については原子軌道やフントの規則を考慮する必要がある。 窒素原子と酸素原子を例に考える。二つの電子配置は次の表のようになる。(IEの単位はeV) N : 1s2 2s2 2p3 IE1:14.53, IE2:29.60 O : 1s2 2s2 2p4 IE1:13.61, IE2:35.12 1s2s2px2py2pzN↑↓ ↑↓ ↑ ↑ ↑ O↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑ ↑ 窒素原子より酸素原子のほうが第一イオン化エネルギーが小さいのは、2p軌道に入る4個目の電子が三重に縮重したp軌道のいずれかの軌道に異なるスピンをもって入り、電子間の静電的な反発エネルギーが電子を不安定にするためである。 ちなみに、第2イオン化エネルギーの場合は、どちらも区別のつかない2p軌道からひとつずつ取り去るので、有効核電荷が大きい酸素原子のほうがIE2は大きくなる。このことは他の周期でもみられる。 また電気陰性度(マリケンの電気陰性度)は、電子親和力とイオン化エネルギーの相加平均であるが、前者に比べ後者のほうがかなり大きいため、電気陰性度はほぼイオン化エネルギーに比例する。
※この「イオン化エネルギーについての補足」の解説は、「イオン化エネルギー」の解説の一部です。
「イオン化エネルギーについての補足」を含む「イオン化エネルギー」の記事については、「イオン化エネルギー」の概要を参照ください。
- イオン化エネルギーについての補足のページへのリンク