イオンピックアップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/30 21:08 UTC 版)
先述の通り、非熱的散逸の過程では多くの場合で荷電粒子が関与しており、これらは光電離や電荷交換、高エネルギーな電子との衝突によって生成される。一般に惑星磁場がある環境下では荷電粒子は磁場に捕獲されるが、固有磁場を持たない環境では太陽風の電磁場が大気に侵入して荷電粒子が捕獲され惑星から散逸していく、イオンピックアップ過程が発生しうる。例として、金星大気ではこのピックアップによって酸素イオンが流出しており、その散逸率は毎秒 1025 個である。 また太陽風によるピックアップを受けたイオンは、磁場との相互作用によってラーモア運動と呼ばれる磁力線に巻き付くようならせん運動を起こす。この高速な粒子は再び大気に衝突し、上記のスパッタリングによる大気散逸を引き起こすことが知られている。金星大気では、ピックアップされた荷電粒子によるスパッタリングにより、ピックアップによる散逸そのものより数十倍も多い中性粒子を散逸させることが指摘されている。
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