くらやみに蝌蚪の手足が生えつつあり
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春 |
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評 言 |
昭和27年『今日』より。三鬼と言えば、現代俳句協会設立の立役者である。「おそるべき君等の乳房夏来る」や「中年や遠くみのれる夜の桃」など、新興俳句運動にかかわったが、意外にもその作句活動は中年に差しかかった時点からである。また、「中年」を詠んだ俳句は、歴代に類を見ないのではないだろうか。 この句は、「蝌蚪の手足が生えつつあり」と、自然界では当然の事を言っている。が、「くらやみに」の上五の言葉で、それは当然の事でありながら、何故か不気味な雰囲気を醸し出すのである。増して、あらためてこの一句を現代社会に投げ出してみると、まるで昨今の不穏な動きをしている某国の様相すら想像してしまうではないか。嘗て『不易流行』と芭蕉は解いたが、この一句にはその精神が息づいている。 |
評 者 |
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備 考 |
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