『白髪小僧』
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『白髪小僧』という小説の巻頭で氏は、お伽話の体で書いたが実は大人に読んでもらいたい、と言っている。それは登場人物の「白髪小僧」が紛れもない氏の理想とする天皇像であるからだ。白髪小僧とは、生まれつきの馬鹿で独り者で夏も冬もぼろぼろの着物一枚切りでいつもニコニコしている。物を貰えど礼はいわないが決して貯めず、困っている者に惜しみなくやる。だから乞食小僧、王様小僧、慈悲小僧など言われている。つまりこれは社会の最下層で疎み蔑まれるゆえ神聖を帯びるという考えである。だが、これを今の(当時は大正)天皇にあてはめようとしているわけではない。古代的な牧歌的天皇像を当てはめることで近代天皇像への批判となる(夢野久作の場所 山本巖 書肆侃侃房)。
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