『ブロワ城からの脱出』
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「マリー・ド・メディシスの生涯」の記事における「『ブロワ城からの脱出』」の解説
『ブロワ城からの脱出』は、幽閉されていたブロワ城からのマリーの脱出事件を描いている。マリーは威厳に満ちた立ち姿で描かれ、マリーの物腰からはカトリック教徒の召使いや兵士たちでその場が混乱状態に陥っていることが示唆されている。後にマリーがフランスの表舞台に復帰することが、夜の神ニュクスと曙の神アウロラが描かれていることから分かる。夜の神が事件が起こった時刻を表し、曙の神が女王を群衆から保護してその道を明るく照らしだすという、神話の役割通りの意味で描かれている。ルーベンスはこの作品を正確な写実ではなく、マリーの英雄的精神をより強調して描いた。マリーのブロワ城脱出が記録された古文書によると、『ブロワ城からの脱出』に描かれている情景は史実と全くかけ離れたものになっている。ルーベンスはマリーの気分を害することを危惧して、この絵画にマリーに対する否定的事物を一切描いていない。このことが『ブロワ城からの脱出』を写実的ではない雰囲気を持つ作品にした。マリーは簡素な外観で描かれているが、軍隊を圧倒する権力を持っていることが暗示されている。脱出する際に経験したであろう、いかなる苦難もマリーの様子からは感じられない。画面前面に描かれている、マリーに近づこうとしている男性が誰なのかは分かっていない。背景に描かれている大きな人物像は軍隊の擬人化で、マリーの信念が軍隊よりも権威があることを象徴している。
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