『アンティゴネー』におけるハイモーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/20 02:25 UTC 版)
「ハイモーン」の記事における「『アンティゴネー』におけるハイモーン」の解説
国王の戦死に伴ってクレオーンが王位を継承し、テーバイの死者を手厚く葬らせる一方、ポリュネイケースの埋葬を禁止し、それを破った場合死刑にすることを宣告した。それに反して、ポリュネイケースの妹、アンティゴネーは兄の遺体を埋葬しようとする。ハイモーンが最初に登場するのは、クレオーンがアンティゴネーを死刑にしようとしていることを聞いた直後である。彼はテーバイの民衆の感情を代弁して、アンティゴネーを救うべくクレオーンの説得を試みる。ハイモーン曰く、民衆はクレオーンを恐れているため大っぴらには不満を口にしないが、戦死した実兄を敬い埋葬しようとする彼女の行為こそが称えられるべきであり、死刑になどするべきではないと噂している。また、ハイモーンはアンティゴネーを死刑にするのであれば自分も死ぬつもりだと父に告げる。ハイモーンの執り成しを聞き入れることなく、クレオーンは彼女を、1日分の食料と共に洞窟に閉じ込めることを宣言する。これは事実上の死刑宣告にあたる。盲目の預言者テイレシアースによれば、神々はクレオーンのこの決定に対して反感を持っており、生贄さえ受け付けようとしない。テイレシアースはクレオーンに、自分のしたことを再考するように求める。最終的にクレオーンはそれを聞き入れ、アンティゴネーを洞窟から解放し、野ざらしにされたポリュネイケースの遺体も埋葬するように決める。しかし、アンティゴネーは既に自ら首を吊って死亡していた。クレオーンがアンティゴネーの閉じ込められている洞窟に到着したとき、先に到着していたハイモーンは彼に対して怒り、無言のまま剣を抜いて殺そうと試みるも失敗して自殺する。また、クレオーンの妻・エウリュディケーも、息子・ハイモーンの死の報せを聞いて嘆きのうちに自殺する。 ハイモーンとアンティゴネーが婚約していることは、父であるクレオーンを含め、周知の事実であり、二人が相思相愛の仲であったことも指摘されている。ハイモーンは婚約者たるアンティゴネーの命を救うために、クレオーンに対して説得を試みるが、その説得のために感情に溺れた愛を持ち出す事はなく、あくまで理性的な言葉で父に対抗せんとするように描写されている。
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