「隠された情報」と「隠された行動」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/21 23:53 UTC 版)
「情報の非対称性」の記事における「「隠された情報」と「隠された行動」」の解説
情報の非対称性はしばしば、それが「取引の開始前に存在する、情報の非対称性」であるのか、それとも「取引の開始後に存在する、情報の非対称性」であるのかに、区別される。 「取引の開始前に存在する情報の非対称性」というのは、例えば中古車市場における中古車の品質情報の格差が挙げられる。買い手が知らない情報を売り手が知っているという点から、このような情報は「隠された情報」と呼ばれている。 一方、「取引の開始後に存在する情報の非対称性」というのは、例えば自動車保険市場を考えたとき、自動車保険に加入しようとしている人は自分の運転能力を知っているが、保険会社はその人の運転能力や事故歴などをあまり把握できない。このとき、保険の加入者の行動が保険会社にとって完全には明らかではないという意味で、加入者の行動は「隠された行動」と呼ばれている。契約の履行は加入者の行動に起因することになるが、加入者の行動については保険会社が「情報劣位者」となる。 情報の非対称性を「隠された情報」と「隠された行動」に区別する理由は、引き起こされる問題の性質が異なるためである。経済学の世界では一般に、「隠された情報」は市場において逆選抜の原因になり、「隠された行動」はモラル・ハザードを引き起こすとされている。
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