「薤露行」の意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/09 02:39 UTC 版)
『薤露行』というタイトルは、発表当時から難解な印象を与えたらしく、読者から問い合わせの手紙が寄せられた。これに対して漱石は「薤露」とは中国の古楽府の題名であり、「人生は薤上の露の如く晞(かわ)き易し」から来ていると答えている。また、楽府に基づき、古詩に属すものを「行」という。「薤露(中国語版)」は次のような詩である。 薤上露、何易晞 (薤の上の露の何ぞ晞き易し)露晞明朝更復落 (露は晞けども明朝更に復た落ちん) 人死一去何時帰 (人は死して一たび去らば何れの時にか帰らん) 「薤露」は、漢の田横が自害し、その死を悼んだ門人が作った詩で、王侯貴人の喪に用いられたとされる。つまり、貴人の柩を送る挽歌である。詩の前半、薤は一般的にはニラを意味するが、中国ではラッキョウのことである。薤の葉は幅が狭く、露がとどまりにくく乾きやすい。このことから、住みにくい世に生きる命の儚さの比喩になっている。後半では、自然の循環・再生力に対比して人の命の直線性を語っている。
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