「よい」ハッセ図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 09:56 UTC 版)
ハッセ図は有限な半順序集合を扱う単純で直観的なツールであるが、「よい」図を描くのはやや難しい。実際、与えられた半順序集合についてハッセ図はいろんな形で描くことができる。単純な技法としては、最も小さい元を出発点として徐々に大きい方に向かって描いていくという方法があるが、これで生成される図はあまりよいとは言えず、対称性や順序の内部構造が容易に失われてしまう。 ここでは、集合 S = {a, b, c, d} の冪集合を例として考える。すなわち、S のあらゆる部分集合の集合 P ( S ) {\displaystyle {\mathcal {P}}(S)} である。冪集合は部分集合の包含関係 ⊆ {\displaystyle \subseteq } で容易に順序付けできる。この順序を描いた3種類のハッセ図を以下に示す。 左端の図は最も単純な描き方をした場合に近い。5層になっていて、各層にある頂点は、元の数が等しい部分集合に対応している。下から2層目は元が1つの集合に対応するが、個々の頂点にどれを具体的に割り当てるかは様々な組合せがあるものの、これらを具体的に割り当てるとそれより上の層は自動的に固定される。図の複数の頂点のラベル付けをどのようにしても元の半順序が表せるため、これは自己同型の例でもある(特に断らない限り、辞書式順序を仮定することが推奨される)。 上の例は同じ順序についての異なるハッセ図を示しており、それぞれが元となる数学的構造の異なる面を反映している。左端の図は頂点の層ごとに元の数が対応している。右端の図はその構造の内部対称性を強く反映している。最後に真ん中の図は2つの立方体を繋いだような形になっており、冪集合 2S と product order 2 × 2{a, b, c} の間の関係を強調したものとなっている。 よりよい図を描くための様々なアルゴリズムが考案されているが、今のところよい図を描くには人間が介在した方がよい。もっとも、その人間もハッセ図を描くには一種の技量を必要とする。
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