74式戦車 出動

74式戦車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 06:04 UTC 版)

出動

73式特大型セミトレーラで運搬される74式戦車
  • 四国4県の防衛警備に当たっている第14旅団の戦車部隊である第14戦車中隊(現在は廃止)は、旅団の警備区外(第13旅団管轄)である岡山県日本原駐屯地にあるため、四国で行われる駐屯地祭などに74式戦車が参加する際は瀬戸大橋を使ってトレーラー輸送されていた。
  • 開発に合わせて自衛隊法第114条と防衛庁訓令により道路運送車両法に定める装備の省略が可能になるよう法制度などの整備がなされ、ナンバープレートなどは装着されていないが、各国の戦車同様にウインカーは装着されている。「戦車にウインカーが付いているのは日本だけである」というような誤った風説があるが[30]、ウインカーは先進国の戦車の標準装備である(各国戦車の項目を参照のこと)。その他に警笛、後方確認用サイドミラー(これは着脱可能で、市街地での走行のみ取り付ける)なども装備されている。
  • 長崎県雲仙普賢岳噴火の際に、夜間に火砕流発生の警戒監視を74式戦車の投光器(アクティブ型赤外線暗視装置)で行うことが可能と考えられ、第4戦車大隊から2両が出動したが、実際には87式偵察警戒車が監視を行い、74式戦車は使われることはなかったとされる[31]
  • 2011年東北地方太平洋沖地震での福島第一原子力発電所事故で放水活動や電力復旧活動の障害となっている放射性物質に汚染された瓦礫を撤去するため[32]、静岡県御殿場市の陸上自衛隊駒門駐屯地から排土板(ストレートドーザ)を装着した第1戦車大隊第1機甲教育隊の74式戦車2輌と、第1後方支援連隊78式戦車回収車1輌がJヴィレッジに派遣された[33]戦車の放射線防護能力を買われてのことであったが、間もなくリモコン操作式のブルドーザーが投入されたため、実際に作業を行うことなく撤収している[34]
  • チャイコフスキー作曲の1812年(序曲)は、大砲(cannon)を演奏で使うことで有名であるが、2011年の日本原駐屯地創立記念式典[35]、2016年の高知駐屯地創立記念式典[36]では74式戦車の戦車砲を用いた演奏が確認されている。どちらも日本原駐屯地所属の74式戦車(それぞれ第13戦車中隊、第14戦車中隊)が参加している。

玖珠駐屯地など、配備先の駐屯地内で成人式が行われる際、新成人隊員が綱引きで74式戦車を牽引する行事が行われる場合があった[37]


注釈

  1. ^ かつてタミヤはSTB時代の74式戦車をモチーフとした半架空の戦車「M.B.T.71」のプラモデルを販売していた。
  2. ^ 90式では前後方向への傾斜のみに簡略化されており、74式よりも可動範囲の自由度は小さい。これは弾道計算コンピューター、レーザー測距器に代表される電子機器の発達により、砲撃時に車体の水平を維持する必要性が薄れたためである。10式は左右の傾斜調整機能が復活している。
  3. ^ 90式より高腔圧に対応
  4. ^ 2008年度予算から初度費が一括計上されており、10式の単価には初度費は含まれていない。
  5. ^ 平成元年度防衛白書中の資料「平成元年度主要事業の経費」によれば、56両に対し22,175百万円。
  6. ^ 1965年と2022年の物価を消費者物価指数で換算。
  7. ^ サイドスカートを装着した状態では一般に公開された例はないが、試作車のみ、「SPEARHEAD (スピアヘッド) No.3」などでサイドスカートを装着した写真が掲載されている。
  8. ^ M1エイブラムスの初期型車両に類似したもの。

出典

  1. ^ a b 74式 事実上の主力戦車”. 時事ドットコム. 2021年1月14日閲覧。
  2. ^ a b c 丸 2002, p. 78.
  3. ^ a b c 古是三春 & 一戸崇雄, p. 68.
  4. ^ 丸 2002, p. 80.
  5. ^ 丸 2002, p. 81.
  6. ^ 三菱重工業株式会社 社史編さん委員会 編『海に陸にそして宇宙へ 続三菱重工業社史 1964-1989』三菱重工業、1990年4月、740頁。 
  7. ^ 74式 「低姿勢」を徹底追求”. 時事ドットコム. 2021年1月14日閲覧。
  8. ^ a b 丸 2002, p. 82.
  9. ^ 林磐男 2002, pp. 248–249.
  10. ^ 74式 アナログ式で弾道計算”. 時事ドットコム. 2021年1月14日閲覧。
  11. ^ 丸 2002, p. 83.
  12. ^ a b c d PANZER 2004.
  13. ^ a b c d 幻の「74式改」”. 時事ドットコム. 2021年1月14日閲覧。
  14. ^ 古是三春 & 一戸崇雄, p. 91.
  15. ^ 古是三春 & 一戸崇雄, p. 105.
  16. ^ a b c d e f 古是三春 & 一戸崇雄, p. 106.
  17. ^ a b 古是三春 & 一戸崇雄, p. 89.
  18. ^ a b c d e f g 古是三春 & 一戸崇雄, p. 81.
  19. ^ a b 古是三春 & 一戸崇雄, p. 83.
  20. ^ JグランドEX 2019 SPRING No.4. イカロス出版株式会社か. (2019年6月15日) 
  21. ^ a b ワールドタンクミュージアム」第4弾 74式戦車解説書
  22. ^ 74式戦車にある外付け電話ボックスって? 欧米ではわざわざ増設した例も 使い方は?」『乗りものニュース』株式会社メディア・ヴァーグ、2020年12月8日。2020年12月9日閲覧。
  23. ^ 『世界のハイパワー戦車&新技術』(Japan Military Review『軍事研究』2007年12月号別冊p135、一戸崇雄)
  24. ^ 伊藤学 2023, p. 47.
  25. ^ 装甲車両・火器及び弾薬の開発・調達について (PDF) - 防衛省経理装備局艦船武器課 平成23年2月
  26. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 古是三春 & 一戸崇雄, p. 99.
  27. ^ a b c d e 古是三春 & 一戸崇雄, p. 75.
  28. ^ 伊藤学, p. 78.
  29. ^ a b 陸自「74式戦車(改)」を知っているか わずか4両のレア戦車 90式戦車レベルの装備」『乗りものニュース』株式会社メディア・ヴァーグ、2020年3月31日。2020年4月8日閲覧。
  30. ^ “戦車にウインカー「軍隊否定」の象徴”. MSN産経ニュース. (2012年4月28日). https://web.archive.org/web/20120428193057/http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120428/plc12042822520013-n1.htm 2012年4月29日閲覧。 
  31. ^ 月刊PANZER編集部 (2018年10月23日). “火山噴火になぜ戦車? 頑丈さや悪路走破性のみならず 雲仙普賢岳噴火と陸自74式戦車”. 乗りものニュース. 2022年7月3日閲覧。
  32. ^ 日本経済新聞:自衛隊、福島第1原発周辺に戦車2両 がれき撤去へ
  33. ^ “がれき撤去で、戦車派遣=福島第1原発、放水作業を支援—防衛省”. livedoorニュース. 時事通信社 (ライブドア). (2011年3月20日). オリジナルの2011年3月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110322033459/http://news.livedoor.com/topics/detail/5428657/ 
  34. ^ PANZER 2011.
  35. ^ 大砲・戦車との音楽展示2
  36. ^ 2016年[4Kチャイコフスキー序曲1812年/2曲目砲撃有【高知駐屯地】]
  37. ^ 玖珠駐屯地恒例 戦車と綱引き - OBS大分放送(1月19日放送・配信分。同日配信のニュースをアーカイブ化)






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「74式戦車」の関連用語

74式戦車のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



74式戦車のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの74式戦車 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS