隠し砦の三悪人
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影響
1977年公開のジョージ・ルーカス監督作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のアイデアは、本作を基にしていることを監督自らが語っている[26]。ルーカスはC-3POとR2-D2が、百姓コンビの太平と又七をモデルにしたことも認めている[27]。ほかにも、黒澤映画の特徴的技法であるワイプによる場面転換を採用し、レイア姫の男勝りな性格や行動には雪姫の影響がある[26]。黒澤の渡米時に通訳を務めたオーディ・E・ボックによると、黒澤がルーカスやアーヴィン・カーシュナーらと会合した時に、『七人の侍』の海外放映の著作権をめぐる裁判について話をし、その後にルーカスが『スター・ウォーズ』が本作からヒントを得ていることを語ると、周りから「裁判沙汰になるのがいやだったら、間違ったって私は盗作しましたなんて、正直に告白するもんじゃないよ」と冗談交じりに言われたという[28]。
なお、スター・ウォーズエピソード4公開当時、星新一が早くも冒頭シーンと「隠し砦の三悪人」との類似について独自に気付いており、エッセイに書き残している。
ジョン・ミリアス監督も1975年公開の『風とライオン』で、三船のアクションシーンを模倣している[29]。2008年には樋口真嗣監督でリメイク作『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』が公開された。また、黒澤映画のファンである漫画家の和田慎二は、1973年に本作を元にした漫画『炎の剣』を『別冊マーガレット』3月号に掲載した。
その他
- 劇中、火祭りの歌の歌詞は室町時代の成立である『閑吟集』の「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」に由来する。この歌集に先行する類似の文句としては、室町幕府初代将軍足利尊氏の清水寺への請願文の書き出しとして有名な「この世は夢のごとくに候」がある。
- 後半、木を持って太平と又七が逃げるシーンで「県境を超えれば早川領」というセリフがあるが、当時県ではないためDVD字幕では「国境」と直されている。
テレビ放送
1981年4月4日、フジテレビ系列の『ゴールデン洋画劇場』(因みにこの日が金曜から土曜へ移動した初回)の特別企画『映画ビッグスペシャル』(19:33 - 22:54)第2部(第1部は『速報!第53回アカデミー賞授賞式』)でテレビ放送された[30]。なお映画終了後は、黒澤監督を始め、本作の出演者である千秋実・藤原釜足・上原美佐が出演、当時を振り返った。この時上原は女優業を引退していたため「引退後、主婦、二児の母」と紹介されている。
注釈
出典
- ^ a b c d e 尾崎秀樹 編『プロデューサー人生 藤本真澄 映画に賭ける』東宝出版事業室、1981年12月、241-242頁。
- ^ a b c 85回史 2012, pp. 148, 156.
- ^ 都築 2010, p. 290.
- ^ a b c d 浜野保樹「解説・世界のクロサワと挫折―『隠し砦の三悪人』」(大系2 2009, pp. 692–695)
- ^ a b 浜野保樹「解説・世界のクロサワと挫折―時代劇三部作」(大系2 2009, pp. 683–684)
- ^ a b 菊島隆三「すぐれた作品のかげにはストイックなまでの自虐」(『黒澤明ドキュメント』キネマ旬報社、1974年)。キネマ旬報 2010, pp. 108–116に所収
- ^ 佐藤忠男『黒澤明作品解題』岩波書店〈岩波現代文庫〉、2002年10月、202-203頁。ISBN 9784006020590。
- ^ 「黒澤明、自作を語る―隠し砦の三悪人」(キネマ旬報 2010, p. 53)
- ^ 「製作メモランダ」『全集黒澤明』第4巻、岩波書店、1988年2月、432-433頁、ISBN 9784000913249。
- ^ “黒澤明第3部-PAGE6”. 日本映画写真のキネマ写真館. 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月30日閲覧。
- ^ 浜野保樹「解説・世界のクロサワと挫折―黒澤プロダクション」(大系2 2009, pp. 695–696)
- ^ 『芸能画報』1958年2月号、国際写真通信社、1958年、33頁。
- ^ ガルブレイス4世 2015, p. 325.
- ^ 研究会 1999, p. 204.
- ^ 上原美佐「雪姫になって」(DVDの解説書)、東宝、2003年、37頁。
- ^ a b 丹野達弥 編『村木与四郎の映画美術「聞き書き」黒澤映画のデザイン』フィルムアート社、1998年10月、115頁。ISBN 4845998858。
- ^ a b 都築 2010, pp. 293–294.
- ^ a b 松田美智子『サムライ 評伝三船敏郎』文藝春秋、2014年1月、59-60頁。ISBN 9784163900056。
- ^ 塩澤幸登『KUROSAWA 映画美術編』河出書房新社、2005年7月、323頁。ISBN 9784309906447。
- ^ “ブルーリボン賞ヒストリー 第9回(1959年2月5日)”. シネマ報知. 2012年5月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月1日閲覧。
- ^ “PRIZES & HONOURS 1959” (英語). Berlinale. 2020年9月1日閲覧。
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- ^ 85回史 2012, p. 588.
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- ^ “THE HIDDEN FORTRESS” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年9月1日閲覧。
- ^ a b Nicholas Barber. “The film Star Wars stole from” (英語). BBC. 2020年9月1日閲覧。
- ^ ガルブレイス4世 2015, pp. 333.
- ^ オーディ・E・ボック「素顔の黒澤明」(『話の特集』1979年6月号、佐藤美和子訳)。『大系黒澤明 第3巻』講談社、2010年2月、pp.260-271に所収
- ^ 研究会 1999, p. 198.
- ^ 『読売新聞 縮刷版』読売新聞社、1981年4月4日付けラジオ・テレビ欄。
- ^ a b c d e f g “黒澤映画「隠し砦の三悪人」舞台化決定、真壁六郎太役の上川隆也「壁の高さは計り知れません」”. ステージナタリー. ナターシャ (2023年4月6日). 2023年4月6日閲覧。
- ^ a b c d e f “黒澤映画「隠し砦の三悪人」舞台版に佐藤アツヒロ登場「これは怖い…怖すぎです」”. ステージナタリー. ナターシャ (2023年5月9日). 2023年6月10日閲覧。
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