間取り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/11 23:47 UTC 版)
概要
「間取り」という言葉は、建築物の内部における「間」(部屋、区画)の「取り」方からきているといえる。具体的には、建築物の内部空間を壁や段差などで物理的に分割するやり方、分割されたそれぞれの空間に機能を割り当てること(寝室/台所/居間/子供部屋/書斎..等々を決定すること)、それぞれの相対的位置を決めるということでもある。
住宅の間取りについては、しばしば「良い間取り」「間取りが悪い」といった評価が下されることがあるが、これらは居住者にとって快適かどうか、使い勝手が良いか悪いか、効率よく暮らせるか、などということを言っていることが多い。このため、住宅の設計者は、建物の面積や形状、構造、環境といった制約の中で、各部屋の南北東西の相対的な位置の違いによる日照条件の違い(採光の違い)や、住人が生活する際の動線を考慮しつつ、部屋の配置を決定してゆくことになる。
また「広い間取り」を特に高く評価する住人もおり、住宅の設計者はこうした要求を満足させるための間取りも考えることになる。
平面計画
住宅においては、主に3つの空間に分割される。特に用語がないので仮に表現するが、「個人的な生活空間」、「共同的な生活空間」、「生活にともなう行為を行う空間」である。「個人的な生活空間」とは、「寝室」や「書斎」「子供部屋(子供室)」など、「共同的な生活空間」とは「居間」「客間」「食堂(食事室)」など、「生活にともなう行為を行う空間」とは「台所」(家事空間)「浴室」「便所」(生理・衛生空間)「玄関」「廊下」(交通空間)「押入れ」(収納空間)などである[2]。
これらの機能は、居間と食事室を同じ部屋に組み合わせたり、空間を物理的に分割せずに1つの部屋に持たせることも可能であるが、条件の異なる生活行為を同じ空間に計画することは、それぞれの空間を充分にはたらかせるための最低条件として避けられている。例えば「食堂」の機能と「便所」の機能とを物理的障壁を一切設けずに一室で兼用させることは、衛生上の問題もあり、通常の住宅で計画されることは少ない。この条件を、寝ることと食べることが生活において相反する行為であることを引用して食寝分離という[2][3]。
分割されたそれぞれの空間に、機能を持たせる際に重要となってくるものは、それぞれの機能同士の相関関係である。例えば「台所」と「食堂」は、調理から配膳という時間的に連続する家事行為の上にあるものであるから、強い相関関係にあるといえる。相関関係の強い機能同士では、空間的に近接ないし連続させれば、機能の効率を上げることができる。こうした生活上の動線も勘案しながら各空間に適切に機能を配分することが「間取り」の考え方といえる。
間取りの基本思想
行為としての間取りを考える際には、前述の機能面のほかに、その建築物のある文化、風土、地域性、国民性などにも左右されることがある。ここでは、間取りに影響する基本思想のうち、機能的側面と文化的側面の2つを挙げる。
機能的側面
その建築物全体の使用目的を達成させるために、その建築物内部で行われる諸活動の機能の効率をいかに向上させるかを考慮するものである。
前述の住宅の例でいえば、次の点が考慮点として挙げられる。
- 個人的行為(就寝、休養、学習など)の空間同士の近接
- 時間的に連続する行為(調理→配膳→食事→下膳)の空間同士の近接
- 類似的生活行為(食事と団欒)の空間同士の近接
- 互いに相反する生活行為(食事と就寝)の空間の明確な分離(食寝分離)
特に、物理的に限られた空間の中でこれら全ての点を考慮した場合に、一つの部屋で複数の機能を兼用させて有効利用を図るという発想も出てくる。具体的には、1を一つの部屋で実現した「子供部屋(子供室)」、2を一つの部屋で実現した「ダイニングキッチン(DK)」、さらに2と3を一つの部屋で実現した「リビングダイニングキッチン(LDK)」が挙げられる。
間取りと同じ種類の言葉
- 間取りのページへのリンク