質量とエネルギーの等価性 質量とエネルギーの等価性の概要

質量とエネルギーの等価性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/15 03:20 UTC 版)

M87* ブラックホール近傍の質量が、5,000光年にわたる非常に高エネルギーな天体物理学的ジェットに変換される。

この式は、粒子の静止座標におけるエネルギーEを、質量(m)と光速の2乗(c2)の積として定義している。光速は日常的な単位では大きな数字(約 300 000 km/s または 186 000 mi/s)なので、この式は、系が静止しているときに測定される少量の「静止質量」が、物質の組成とは無関係に膨大な量のエネルギーに対応することを意味する。

静止質量は不変質量とも呼ばれ、光速に近い極限速度でも運動量に依存しない基本的な物理的性質である。その値は、すべての慣性系で同じである。光子のような質量のない粒子は不変質量をゼロとするが、質量のない自由粒子は運動量とエネルギーの両方を持つ。

等価原理は、化学反応核反応などのエネルギー変換でエネルギーが失われると、システムもそれに応じた質量を失うことを意味する。エネルギーと質量は、などの放射エネルギー熱エネルギーとして周囲に放出されることがある。この原理は、原子核物理学素粒子物理学など、多くの物理学の分野で基本となっている。

質量とエネルギーの等価性は、フランスの博学者アンリ・ポアンカレ(1854-1912)が記述したパラドックスとして、特殊相対性理論から発生したものである[4]。アインシュタインは、質量とエネルギーの等価性を一般原理として、また空間と時間の対称性の帰結として初めて提唱した。この原理は、1905年11月21日に発表されたアインシュタインの奇跡の年の論文「物体の慣性はそのエネルギー含有量に依存するか」で初めて登場した[5]。この式と運動量との関係は、エネルギー-運動量の関係として、後に他の物理学者によって発展した。


注釈

  1. ^ 言い換えると10億分の1以下。
  2. ^ もちろん、これだけで説明がつく訳ではなく、様々な理論が関わってくる。

出典

  1. ^ Serway, Raymond A.; Jewett, John W.; Peroomian, Vahé (5 March 2013). Physics for scientists and engineers with modern physics (9th ed.). Boston, MA. pp. 1217–1218. ISBN 978-1-133-95405-7. OCLC 802321453 
  2. ^ Günther, Helmut; Müller, Volker (2019), Günther, Helmut; Müller, Volker, eds., “Einstein's Energy–Mass Equivalence” (英語), The Special Theory of Relativity: Einstein’s World in New Axiomatics (Singapore: Springer): 97–105, doi:10.1007/978-981-13-7783-9_7, ISBN 978-981-13-7783-9, オリジナルの2021-02-21時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20210221080229/https://link.springer.com/chapter/10.1007%2F978-981-13-7783-9_7 2020年10月14日閲覧。 
  3. ^ Bodanis, David (2009). E=mc2: A Biography of the World's Most Famous Equation (illustrated ed.). Bloomsbury Publishing. p. preface. ISBN 978-0-8027-1821-1. https://books.google.com/books?id=8TX2tFLZ7gYC 
  4. ^ Poincaré, H. (1900). “La théorie de Lorentz et le principe de réaction” (フランス語). Archives Néerlandaises des Sciences Exactes et Naturelles 5: 252–278. 
  5. ^ Einstein, A. (1905). “Ist die Trägheit eines Körpers von seinem Energieinhalt abhängig?” (ドイツ語). Annalen der Physik 323 (13): 639–641. Bibcode1905AnP...323..639E. doi:10.1002/andp.19053231314. ISSN 1521-3889. 
  6. ^ Hawking (1989, [要ページ番号])
  7. ^ Dürr et al. (2008)
  8. ^ a b “欧州物理学チーム,特殊相対性理論の「E=mc²」をついに証明”. AFPBB News (AFP通信). (2008年11月23日). https://www.afpbb.com/articles/-/2541360?pid=3546071 2016年12月7日閲覧。 
  9. ^ "D'où vient la masse du proton?" (Press release). CNRS. 20 November 2008. 2016年12月7日閲覧


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